◆2006年11月30日(thu) コントレックスでお茶する

きょうは恵比寿へまず行った。
とあるお店に行く。わたしはここの帽子が好きで、しょっちゅう見に行っていて、気に入るとすぐに買ってしまうから、帽子がどんどん増えてしまいます。ここにはアクセサリーもあります。これもわたし好みのものが多いのでつい時間がたってしまう。アクセサリーといっても、わたしはピアスもしてないし、見るのはブローチとかリングとかペンダントです。滅多にそれも買いませんが見るのは好きです。リングは、やはり楽器を弾く時や版画をしてる時には邪魔だから、好きだけどだんだんしなくなっている。なのに珍しく買ったんですよ、数日前。そしたら祟りのように壊れまして・・・・きょう直してもらいにまたこの店に寄り・・・そしてまたちょっと買い物をしてしまいました・・・・。消費天国。それから中目黒のフォトスタジオへ。立体イラスト作品の撮影です。

これは年に2回のお仕事です。撮影してもらっている間、デザイナーの方といろんな話しをして楽しい。きょうはまずはコントレックスの話し。
「コントレックス」は硬水の水ですが、カルシウム分が高いとかダイエットに良いとかでモデルさんが良く飲んでますね。わたしもたまに飲んでたのですが、友人で骨の弱いNが、これでコーヒーを飲むと美味しいって言うのを聞いて興味を持ったのでした。10月制作のため工房に通い詰めの日々では、毎日大きいペットボトルを1本飲んでました。普通は高いですが通販だと安く買えます。嫌いな人もいるようですが、わたしはコレだとグビグビ飲めるんです。おいしい、と思う。
そして、ハタと気づいたのですが、ロンドンでおいしいと思った安物の紅茶が日本で飲むとやはりおいしくなかったのは、この水のせいなのではないか?ってこと。あちらは硬水だから。で、Nさんの話しを聞いてコントレックスで紅茶やコーヒー入れてみたら、全然味違うんですよねー。紅茶などはまろやかになって、本当においしい、と思えたんですが、みなさんもちょっとやってみてちょ。
このデザイナーさんは、家で中国茶のネット通販をやってます。で、この話しをしたら、「それは正しい。ラプサン・スーチョンにしても、中国のその産地の水は岩場の硬水なんですよ。だからその方がおいしいと思います」とのことだった。ラプサンはやはり癖があっておいしいとは思えないんですけどねえ、それでも相当柔らかい味わいになるんですよー。驚きの違いです。
硬水と軟水は料理によって使い分けると相当違うみたいですよ。しょうゆを使う煮物は絶対軟水じゃなきゃ美味しくないらしいです。

帰宅後、さらにギャラリーページ更新作業。去年「And b.c.d」でやった『犬・猫・エトセトラ』展と、今年の6月FALLで行った『絡みつくカタチ/Some Winding Shapes』、銀座ギャラリーバー・カジマでの『Summer Dog Days』から動物ものを集めてみました。全21点です。見てね!


コントレックスを使って紅茶をいれた。
手前は針金を使った半立体







『Cat in the Garden』


原沢康明(p)&松本清志(cello)『improvisation at ACAC』

きのう立体イラストの制作をしながら、現代音楽のピアニスト原沢康明とチェロ松本清志のデュオ・インプロヴィゼイション『improvisation at ACAC』(2CD-R)を聞いた。去年、青森の国際芸術センターで行われた即興音楽のワークショップとライブの音。1枚目は初日の4セット行われたデュオで、2枚目のは互いのソロ演奏と、ワークショップの全員が参加したもの。とりあえず1枚目を聞く。
初対面の二人、原沢さんは大学で即興を教えてる教授だそうですが、若い頃にニューヨークに行き、ジャズクラブでピアノ叩き上げ・・・ということだそうです。レクチャーのあとに演奏となるのですが、打ち合わせを、との申し出を松本氏「それは無しでやります」とスッパリ断っていきなり始まったそうです。1〜4まで順に原沢さんの心情の移り変わりが手にとるようにわかって、とてもおもしろかった。以前、1セット目だけ聞いた時、内心『即興っぽい即興になっちゃってるし、ありきたりのジャズっぽさも入ってつまんないかも・・・』と申し訳ないけど思ってしまったわたしです。でも、2セット目になると少し慣れてきたのかいい感じのところも見えてくるのです。でも、まだチェロの音に合わせようとするところが恥ずかしい感じ、というのは否めない。そして、3セット目になると、オヤ、オリジナリティが出てきた感じ、即興デュオの楽しさに興奮している感じ??というのが伝わってくるのですよねえ。そして最後の4セット目には、ついに二人がそこにいるようでそこにいないような、平行しつつも同じ空気を孕んで暖かいひとつの『SONG』を作り上げていることに驚いた。即興だから、もう二度とは同じにはできないのだけど、まるで何かの映画音楽のような『SONG』になっていた。1〜4まで通して聞くことで、その場の空気と共に、初対面で即興演奏する、というおもしろさが伝わってくるのでした。

2枚目を聞く時間はなかった。制作とか月末の用事などでせわしなかった。

ピアノという楽器はやっかいだと思う。
あの立派な楽器は、誰が触っても一応きれいな音がでるから。どんな風にオリジナリティが出せるのか・・・叩くのか、何か詰め込むのか・・・壊すのか・・。でなければ、適当に弾くのであれば、きちんとした曲を作った方がずっと良いのではないのだろうか?と思うことがある。その方がよっぽど簡単にオリジナリティは出せそうだ。思えば、ピアノでおもしろい、と思う人はそんなにいないかもしれない。曲に頼るところが多そうだ。


◆2006年11月28日(tue) 今年のサボテン、LAST LIVEのお知らせ


12/22のスルメンズなちらし。

今年最後のサボテンのライブはサボテン企画です。
クリックして大きくして見てね。

きのう、これから数カ月はミュージシャンとなるゾ!と決意する。
と言っても、まだ仕事がたくさんあるし、刷り増しはしなくちゃならないし、そうも言ってられないのだけど、きのうの朝犬の散歩をしながら我が左指先を見て、『こんなんではいけないっ・・・。わたしは山本さんじゃないんだから・・・』と銅版画大御所のきれいにネイルケアされた指のことを思い出して激しく思うのだった。
エレキギターを弾き続けている時は左指先は最初は皮がむけて痛くなって、それから硬くなってカッパの頭のように(見たんかいっ!)なりますよねえ。勿論爪は伸ばせない。たくさん版画を制作している時には、それに加えて、爪の間にインクが入って汚い。その上、ガソリンをたくさん使うので手の平はガサガサになり、人に見せられるようなものではない。でも、それがワシの勲章じゃけんね!なのに、今の手ときたらふにゃふにゃで、これでは全然駄目だ。こんなんでは駄目だ。
そして、きのうわたしは音楽する人に復活するのだっ、と決意したのだった。

と、こんな風に宣言しないとやれない、というのがまんず情けないですけどね。
きのうからサボテン練習復活です。きのうはイヅミちゃんのお宅での練習。サボテンは8月以来なので、練習は楽しかった。エレキギターは楽しい。今年はサボテンは7月のクロコダイルなど比較的大きめのところで、グンジョーガクレヨンの宮川さんがドラムを叩いてくれていたパワーのある感じが平均的スタイルになっていました。でも、今年最後のサボテンはヘナチョコでいきます。ヘナチョコじゃない時のサボテンというのがあって、ヘナチョコな時のサボテンがあって、どっちもサボテンは良くって楽しくッて、『リバーシブルな音楽』をわたしたちはやろう、というわけです。
たくさん歌ばかり歌っていると、いい加減インストだけにしたくなるし、サティばっかりやってると、やっぱり飽きてきて歌の入ったオリジナルをやりたくなる。それを選ぶのはわたしたちなので、誰に何を言われても好きな時に好きなことをやりたい。
サボテンの曲は、二人で充分おもしろいと思っているので、今回はほとんど二人でやります。ただ、別に出演する牧野くんにも数曲一緒にやってもらう予定です。わたしと牧野くんと山口くん(湯浅湾ドラム)というのもあります。わたしとしては、今年最後のサボテン&ソロ演奏となります。だから、きょうから1ヵ月、いや、数カ月の間は音楽する人になる決意であります。版画はしないもんね〜〜〜〜(のつもり。でも、本当は描きたいものがあるから困ったものだ)。
ほかには今年BONSAItがお世話になった%ホセ(ヴァイオリンの竹田さんのブログ)も出ますし、牧野くんと山口くんのduoも楽しみです。イヅミちゃんとリョーコちゃんのベースduoというのもあるそうで、みなさな、平日ですが、金曜日の夜、遊びにきてチョ〜〜。今年最後のサボテンの企画ライブ、演奏はほのぼのと楽しんでやりたいと思います。そして、お客さんも一緒に打ち上げしましょう。今年はあまりにも忙しくて3年分くらい働いた気がするので(でも貧乏です)しっかり打ちあがりたい・・・と思うのでございます。

練習ではまだ2回しか演奏したことがない『バブルス・リング』ほかほとんど演奏したことのないサティの曲をちょっと。『バブルス・リング』は夏にイヅミちゃんが作って、わたしが詩と歌のメロディだけ考えた。歌詞は、ちょうどその頃は北朝鮮がミサイルを発射し、そして深海生物展があまりにもおもしろくてすっかりそんな生物に心を奪われていた時に作った。イルカが口から出すバブルス・リングは海底からきれいに浮き上がって海上に届くとスゥ〜ッと消える。このリングは、この曲の歌詞では結婚リングになっているのですが、2回しか演奏してないから、途中の歌詞とんじゃった。もう一回よーく考えてみよう。ギターは触りだすとなんともいえない心地よさで、デタラメでもなんでも音をだして遊んでいたくなるもんです。楽しかった。

先日のイヅミちゃん企画の江古田での演奏では、突段の蔦木シュンちゃんがギター持って現れたそうで、チェロの松本清志氏とのセッションが凄く良かったと聞いた。考えてみたら、松本清志氏は突然段ボールのCDでも演奏している。昔から何度か亡くなった突段蔦木お兄さん&弟デュオと一緒にサウンドパフォーマンスなどもしていた。なんというか、蔦木栄一さんと松本氏と、そしてイヅミちゃんとか、そのあたりは美術と音楽が一体化していながらも、音楽を前面に出したやり方というのをやる、という感じだと思う。
松本清志氏の音源について、という質問がちょっとあったので漠然とだけどどんな事をしていたのか書いてみますが、ハッキリ言ってわたしよりイヅミちゃんの方が詳しいとは思うんだけどね。「美学校」第二期小杉武久音楽教場に参加してまして、同期が向井千恵さんとか・・・・・そんな感じ(あ、もうすでに相当漠然)。完全に即興しかやらなくて、ライブだけやっていたのでした。記録なし〜〜〜。記録されているのは、サボテンと突然段ボール以外では、ひとつはパフォーマー浜田剛爾さんの「水の記憶、夢の記憶」というもので、村上ポンタ秀一さんとのデュオで音楽をつけているのがレコードで出ています。これはどんなだったか・・・・わたしもコレは手伝いに行ったんだけど、打ち上げしか覚えてないかも・・・。最近では『crescent』から松本氏リーダーバンドHIKUIYAMAの演奏が2曲入ったコンピレーションアルバムで演奏が聴けます。これは数年前に亡くなった作曲家吉村弘さんに捧げた曲が入っています。武満徹さんとのコンビで有名かもしれない美術家の宇佐美圭司さんの個展のための音楽などもやっていて、そんなこんなの現代美術、現代音楽関係の人とやっていることが多いです。でも、サボテンや突然段ボールのようなロックバンドとのものも良いと思ってます。くわしくはHIKUIYAMAサイト内http://www.hikuiyama.com/matsu/matsu_biography.htmlで。

きょうは友人二人と浦和の『楽風』というお茶屋さんの作っているお茶カフェ&ギャラリーへ上村直子さんの銅版画個展を見に行ってきました。長い旅路でしたが、この明治24年からの古い建物をうまく建て直した店はその旅路を忘れさせてくれるほど素敵でした。2階の自然な作りの梁むきだしの和室に上村さんのアクアチント3版を使った丸や四角の入った滲むような面が和風のようなモダンなような、でとても合っていました。畳みの上に正座して順番に見ていくのですが、今までと違ってタイトルの下にシンプルなことばが添えられていました。彼女とわたしは約一ヵ月間同時期に、工房で個展のためにがんばってきていて、自分の言葉を書いてみたい、とその時に話していたから、わたしはそれがとても楽しみだったのでした。普段物静かな人ですが、意外とかわいいんだなあ、とか、サッパリしてるんだなあとか、微笑ましい感じがしてとても良かったのでした。見終ったあとは下のカフェでお煎茶とケーキのセットを。茶釜にお湯が沸いているので、自分でお代わりします居心地が良かったので、結構長い時間そこで楽しみました。
というか、しゃべり過ぎ・・・

仕事は実は残りまくってまして・・・・ピ〜〜ンチ。きょうはがんばろう・・・と思ったのですが、どうもメールの具合がおかしい・・・。そんなわけでネット関係いろいろセットアップしなおしたりしていたので、仕事できず。しかも、夜、8時半以降にわたしにメールした方がいらっしゃいましたら、申し訳ありませんが、もう一度お願いします。何も届いてない状態になってました。今は大丈夫です。

さて、仕事しなくっちゃ。
あ、全然音楽の人になってないじゃん。嘘つき。


◆2006年11月26日(sun) バイバイ!マリンタワー


夕暮れのマリンタワー。


マリンタワーのレトロな鉄窓から観た氷川丸。

『Terje』の舞台装置は、港の鉄骨を背景にしている。始まるまではスクリーンにイプセンの顔が左から右へ流れていた。

きょうは午後から横浜へ。

まず、そごう美術館で『鈴木信太郎』展を観た。
なんだか郷愁をさそう絵なのですが・・・あ、そうだったんですねえ、西荻窪に昔からあるお菓子屋さん『こけし屋』のあのかわいらしい人形の絵、アレの人でした。
きのうおみやげに買った西光亭のパッケージとかぶるところがあります。どちらもかわいらしくて好きです。鈴木信太郎の油絵は、色があざやかで、モチーフがセンスが良いです。人形やサーカス小屋にぶらさがる管楽器だとか、金魚だとかがみんな洗練された小物なのでした。色が特色と思いますが、図録の色がどうも褪せた感じで、これは買いませんでした。

そこから『赤いくつ』バスに乗ってマリンタワーへ行きました。
マリンタワーと氷川丸の営業が今年を持って終了する。御愛顧感謝の45年間。マリンタワーは小さいころからたま〜〜〜〜に行っていた。ちょっとレトロなタワーです。ネオンの色も東京タワーにくらべるとキッチュだし、悲し気でもあるのだけど、そこが魅力です。氷川丸には昔、家族で行った記憶があるけど、繰り返し行くという感じではないので、それっきりだった。
マリンタワーの3階におもちゃ博物館があったのですが、北原氏所蔵のもので、電気で動くブリキのものがたくさん並んでました。すべて舞台装置のようになった大きいもので、馬車が動いたり、ハンプティダンプティだったり、オーケストラだったり。中でもすばらしかったのは、アールデコな箱に囲まれた海の底のジオラマのようなブリキ人形。これは、波ガラスがはめ込まれていて、中に二人の丸いガラスの入った潜水帽を被った潜水夫が立っているのです。ビックリした・・・・。いいです、コレ。わたしの次なる夢は、小さな舞台装置なのですが、勿論その中にはわたしの大好きな潜水夫も入れるんです。ああ、やられた・・・・。
サボテンの『つづく夢』の中のサティの曲『単眼鏡』の台詞は、山下公園でミュージシャンの桂牧さんに録音を頼んで録った。氷川丸のすぐそばだったため、かすかにチケット売り場のアナウンスの声なんかが入っていたと思う。録音しようとするとすぐにアナウンスが入るのでおかしかった。そのうち鼻水は出てくるし鳥はバサバサくるし、オッサンが前を通るしこうゆう録音は大変だけれど、とてもおもしろいんですよ。大好き。

マリンタワーに昇ったら、すっかり日も暮れて、みなとみらいの観覧車もきれいに見えた。夜の観覧車はきれいだ。

そこからきょうは赤レンガ倉庫のそばで野外イベントを観たのだった。
ノルウェーの劇作家イプセン没後100年だそうで、『タリエ』です。招待券をいただいたのでした。Kさんありがとー。
「タリエ・ヴェーゲン」を5つの大スクリーンで海をイメージした映像、そしてダンス、伊武雅刀の語りでつづる。約1時間あまり。横浜の海をバックに、映像もきれいだったし、演出もアッサリしてたけどオリンピックの開会式を観てるようでよかったです。でも、せっかくだから、音楽も生だったら良かったのに、と思いました。

これを観たあとは中華街。
いろんなもの頼んでおいしかったのですが、変なものが出て来ました。それは、マンゴーのかけらにマヨネーズがたくさんかかったもの。コレ・・・なんなんでしょう。子どものところにポン、と置かれたので、多分子どもへのサービスのつもりだったんだと思いますが、残念なことに、うちの子はマヨネーズが嫌いなんだよね〜。子どもはみんなマヨ好きだとは限らない。みんなで少しづつ試食してみたけど、やっぱり絶句ものでした。

たくさん食べてしまった。
夜の中華街はいいです。路地裏なんかもちょっと怖くてね。


◆2006年11月25日(sat) サラリーマン『ぬめり〜ズ』現わる



『木村伊兵衛のパリ』
とライカのギャラリーの赤い看板

ああ、幻惑的一日よ。

きのう東京の夜に『ぬめり〜ズ』が出現した。
なんだか一日朝から夜更けまでいろんなことが起こり、なにやら映画『ロスト・イン・トランスレーション』の、ビル・マーレーのようだった。何がどうなっていたのか、ほんとにもぅ、映画1本撮れるくらいだった。

朝、銀座。
個展での刷り増し作品の内、伊東屋さんからお客さんに送ってもらう3件分を持参。これで伊東屋さんでの事務仕事はひとまず完了なので、特にお世話になったお二人に西光亭のかわいい箱のクッキーを買って持っていった。箱の絵の種類がたくさんあるので選ぶのに苦労してしまう。どれもかわいい。朝早い時間だったのでミニギャラリーのアンティークプリント展の方はまだ来てなくて、掘り出し物を捜すことはできなかった。残念、というかホッとした。なにせ、きのうの昼まではお財布の中には千円札1枚しか入ってなかったのだ。きのうは世のほとんどの人はお給料日で、銀行は長蛇の列の金曜日。カードがあるとはいえ、現金がないのは寂しい。8月末に入ると思われたイラストの稿料が、今だに入ってないのがキツイのよねえ。今月中にはなんとか入れてぇ〜〜。

お金はないけど、エルメスには入れる。
銀座のエルメスのメゾン(こうゆうブランドのビルはメゾンと呼ぶ)にブーツの音を響かせて入りまして、エレベーターで8階のギャラリーまで。「木村伊兵衛のパリ」展を見る。この方の写真は下町の情景ほかでよく知ってはいるけれど、どれも白黒の作品の印象だった。今回のは55年ころのパリをカラーで展示している。パリはなんて絵になるんだろう。これも写真家の力のなせる技なのだろうか。特にこの時代はファッションが男は男らしく女は女らしくできているから、人ーーが素敵だなあ。雑多な街やパリの屋根の中央にピンとそびえるエッフェル塔や、肉屋やカフェ、並木など、どこをとってもフランス映画全盛の頃の空気に満ちている。
小さい頃に見た海外の写真から得たものはとても大きい。家にあった世界文化社の写真満載本はどれだけ見たかわからない。今でも事あるごとに見ている。わたしの原点と言っても良い。

だだっ広いホールでお客はたったの3人。ブーツの音がより響くのだった。係りの女性が近くのライカのギャラリーでも白黒作品のパリの展示があることを教えてくれたので、そこを出たあと行ってみた。写真集もゆっくり見る。木村伊兵衛は職人の顔の写真もすばらしいと思った。文学者の顔も良かったけれど、一番素敵なのは同じく写真家のブレッソンを撮ったもの。パリの街でカメラを持ってニヤッとしているブレッソンは思想家のようだった。文学者の写真といえば林忠彦だよね。太宰治と坂口安吾が一番有名だと思うけど、太宰はバーの椅子に座っているし、安吾は原稿用紙の山に囲まれている、という具合に背景がその人のヒントというよりも説明となっているのに対し、木村伊兵衛の谷崎などはまったく背景がなく、その分迫力を感じる。
堪能した。

そこを出るとすぐ横はカフェ・オー・バカナル。1000円しかないけど、ここまで来たら、もうココはパリ〜〜、ココ以外に入る気になれないじゃないの。で、入ってしまった。で630円のほうれんそうとサーモンのキッシュとカフェ(ここではコーヒーはカフェという)を注文。軽いランチ。ここはパリだから(昔ここのオーナーが本当にそう言っていたのだ)お勘定はその場で払う。虎の子の千円札を出して涼しい顔してたら1050円じゃん!!!なんとか50円あったのでホッとしました・・・・この時点でお財布の中身をチェックしたところ220円ほどありました。ヨシッこれで地下鉄にも乗れるわい、と、ゆっくりパリィ〜〜なランチをとるのだった。

すっかりパリ気分でルンルンそのあたりのブティックなんか見ちゃいました。お金持ってる時よりも楽しいなあ。接客してくれても一文無しだから、かえって気が楽で、これまたゆっくり高級品を見るのだった。気分としてはティファニーを覗くオードリー・ヘップバーンだもんねー。
なにかあった時のことを考えて、220円はそのままにしてsuicaがあるからE電を使うことにした。誰もE電とは言わないが、最近わたしは思い出したようにE電と言っている。原宿へ。

知人が絵を買ってくれたのでお届けと集金。ここで一気にわたしは金持ちになったのだった。夜はとある場所でおいしいギネスをおごる約束があったので、よかったよかった。これが入らないとおごるどころかラヴァッツアでコーヒーも飲めない。ここの事務所でしばらく美術館の話しなんぞをして和む。新築祝いに贈りたいとのことで、赤い犬の絵を買ってくれたのだが、事務所の人にもお見せることにする。どうもオオカミに見えるようだが、シェパードを飼っている人にはシェパードに見えるらしかった。1時間もお邪魔してしまった。それから工房へ。

すっかり記憶から消えていた古い大きな作品を刷ることになった。うまく行けばこの日で今回の刷り増し作業は完了の予定なのだった。色わけはそうでもないが、何しろ600×460mmもある作品なので、インクの拭き取りが大変なのだった。刷り終えるまで4時間もかかってしまった。きのうは久々のヤマ〜〜ン女史と二人ッキリで、充分余裕を持って作業はできたが、刷りあがった作品は・・・アッチョンブリケ〜〜〜〜!『色足りない!ゴミ入ってる!変な線ある!セロテープべったり!ひどいわ〜、わたしの4時間〜誰か返してよオ』(さて、何の替え歌でしょうか?当たったひとには何か差し上げます)てなわけで、まったく使い物にならず、没。ガックリ来てるってのにいつのまにか来ていた工房のイトイオジサン氏が「松本さんとサシでビールを」と言って自分ちに作ったスイートアトリエオーディオルーム(こたつ部屋付)にナンパするんだよぉ、サシってどうゆうことよ・・?よくわからないんだよ、この方は。工房展で毎年問題作を出している。どうやら小説を書いているらしく、それに絵をつけてる。壁を抜ける女とか牢屋に入ってる男とか描いてる。ガックリしてるからもうなんでこうなるのかわけわかんなかったのだけど、兎に角わたしはこの方とサシでこたつの中に入ってビールを飲まねばならないらしい。何話すんだろう・・・・イトイオジサンすぐに寝てしまいそうだから、きっとわたしはひとりでオジサンの趣味のモダンジャズをすばらしいスピーカーで聞きながら手酌するんだろうと思う。
そうこうしてるとなにかと手伝ってもらったお礼におごる約束をしていた野田ちがやってきたので、一緒にとある珈琲屋へ行くのだった。ふぅ、ここまでの道のりも相当長かったきのうだけど、実はこのあとも長いカオスな日だったのだった。

この珈琲屋さんの名前は、別に隠す必要はないのだけど、何故か言いたくない。とてもいい感じのカウンターだけの店で、珈琲も美味しいけどギネスが非常に美味なので、どうしてもギネスばかり飲みに行ってしまう。ご主人は先日ICPオーケストラのライブの時にもバッタリ会ったし、その前はミッシェル・ドネダ+山内桂のライブでも偶然隣の席だった。店にはターンテーブルもある。レコードが聴ける。こういったライブで会うからといってジャズの人とも言えない。なにせあのブラックホーク育ちだからだ。きのうはわたしが少女の頃、母のお財布から少しづつチョロマかしてはためたお金で買ったキャロル・キングの『つづれ織り』のボーナストラックつきCDをかけてくれた。あまりにもこれは聞きすぎたため、ボーナストラックに入る前の段階で完璧に終りの体勢に入って帽子を被っていた。ボーナストラックは特にいらないような気がする、こういった想い出がこびりついたようなアルバムは。
先日ご夫婦でゴルチエのピタピタな服を着てわたしの個展に来てくれて、赤い犬の絵を買ってくださった。この店の壁はちょっとモダンなギャラリー風になっていて、たいていは写真が飾られている。一番大きなアクリルのフレームに入れてくださるそうで、とても楽しみなのだ。隣のCDが飾られている壁も赤いので、きっといい感じになるだろうと思う。だから、飾られた時には誰かに見てもらいたいなあ、とは思うのだけど、この店のことは何故か教えたくないのよねえ・・・・コッソリ行ってギネス1杯、というのが良いので。
赤い犬の絵『Dog around the Roses』はわたしにとって記念すべき作品だったと思っている。多分、この作品を描いたことでわたしの絵の意識は一段高いところに行ったと思っている。芸術がしたい、と思った。『芸術的』でなければおもしろくない、と思うようになったし、『芸術家』にならねば、と思った。その最初の作品なのだった。
ギネスはきのうも美味しくて、2杯飲んだ。

それからコバラのすいた我々はトロトロと歩いてお寿司屋へ入る。きのうはお給料日の人が多いようだったから、遅い時間でもお店は人が多かった。カウンターで珍しい蝦夷あわびだとか白子だとかホッキだとか(北海道物産展のようだ)つまみながらさらにビール2杯。くだらない話しやら真面目な話しやらしていると、隣に『ボタンダウンの村上龍入った鈴々舎馬風似の押しの強い先輩&いとしこいしの細い方似の先輩思いの後輩』という絶妙な会社員コンビがどこからともなくやって来て、我々に話し掛けるではないか。『村上龍入った鈴々舎馬風似』はこの寿司屋のファンらしい。おくらのにぎりほか薦められて食べた。おいしかった。非常におもしろい人たちだったのだが、この『村上龍入った鈴々舎馬風似』が馴れ馴れしく背中を何度も叩くのにはさすがに「やめんかい!」と思ったが、いとしこいしの細い方が感じが良いのに免じて付き合っていた。が、そのあとどうゆうわけかこの二人組に我々あっけなく拉致され、タクシーに乗せられてとある薄暗いバーに連れていかれたのだった。どうなるんだ、コリは・・・・ワシ等どうなるの?と、そこで非常にサッパリしたおいしい焼酎を2杯わたしは飲んでしまった。何を話したのかは忘れたけれど、この『ボタンダウンの村上龍入った鈴々舎馬風似』がお華の家元(だったかなあ・・・)でもあることがわかり、個展したばかりだとか。秋山祐徳太子みたいな前衛かと冷やかしたら、ちゃんとした流派のだったようで、人は見かけによらないものだなあ、と思うのだった。それはそうと、勝手に連れていかれたわけだけど、出る時も勝手に追い立てられた感じで変な具合だった。彼等は何だったのか・・・?『宇宙人サラリーマンぬめりが入ったスルメンズ』だったに違いない。

東京の夜はおかしなことばかりが起こる。
わたしには変な出来事が次から次へと起こるし、いろんな人と知合いになるけれど、どれもおかしなエピソードで、みんな愛すべき人たちばかりだ。『ボタンダウンの村上龍入った鈴々舎馬風似の押しの強い先輩&いとしこいしの細い方似の先輩思いの後輩』出現はカオスなきのうの一日のシメに相応しいダイナミックさでありました。
それらのすべてはもしかしたらわたしのおかしな作品群となって蘇っているのかもしれない。いや、もしかしたら、わたしの妄想から生まれた作品群から抜け出して、生きた存在としてわたしの前に現れてくれているのかもしれない。

どちらにしても、いつも暖かくておかしくて笑っちゃうことだらけ。


◆2006年11月23日(thu) ジャズエイジのガーシュイン

★きょうの一枚

『ハブとマングースの闘い』






次号の『ピアノの本』イラスト
ジャズエイジのガーシュイン

きょうは一日家で仕事と掃除と、そして個展で買っていただいた物の内、刷り増しが完了したものの整理にあけくれた。そのため、やはり江古田のマツキヨ氏のライブには行けず。きょうはグンジョーほかとセッションがあったようで、きっとおもしろかったと思う。マツキヨ氏のチェロはストイックな中に天真爛漫さがあって良いのだ。もともとはジャズベースをやっていて、随分勉強(ジャズの人は勉強熱心だ)していたようなので、いろいろ聞いたりするのだけど、わたしには全然わかんないです。ナンダラメソッドとか言っても・・・。

仕事はいつものヤマハの「ピアノの本」のイラストですが、なんでまた・・・毎日わたしは『のだめカンタービレ』の話しをしなくちゃいけないんでしょうか。こんなに毎日書いてると、好きだと思われるじゃないのよ。いや、ほかにドラマは見てないので、好きなんだろうけど。今回の千蔵さんのエッセイはジャズの話しで、ガーシュインのことが書かれていた。このお仕事では、エッセイに出てくる音楽家の顔を基本的には描くようにしている。これはわたしが勝手に思いついたことで、顔を調べることで、その人のことを知ることができるという楽しみを味わうことができるからなのでした。以前は図書館で調べていたけど、今ではネットでヒョイ、でございますからねえ、簡単です。
で、ガーシュインですが、やはりロシア系ユダヤ人でした。やはり、というのは、曲がなんとなくそんな感じがするからで、管楽器の使い方にそれを感じるわけですよ。面白かったのは、この方ニューヨーク生まれニューヨーク育ちの不良だったそうで、そして、ティンパン・アレー(という通りがある)でラグタイムを聞いて音楽に目覚めたそうです。その後も黒人音楽に傾倒して、ジャズを取入れたり云々。というようなことがたいてい書かれている。 『ポーギーとベス』は良かった。全員黒人のミュージカル映画だった。俳優も音楽も良かった。でも、この方だけが黒人音楽に傾倒したわけではない。この時代はこぞってジャズだったのだ。20年代の別称は『ジャズ・エイジ』なんだから。先日わたしがママクリオさんの演奏で歌ったジョセフィン・ベーカーは、その代表選手だった。褐色の肉体が誇らし気な彼女の歌は案外かわいらしく、強いような弱いような複雑な感じがする。ガーシュインがどんな感じの人だったのかはあまり知らないけれど、フィッツジェラルドと同時代の人で、飲んで騒いで、そして30代で亡くなってしまうという、いかにもジャズエイジの人だったような気がする。
ティンパン・アレーでピアノのオーディションを受けたのだそうだが、その時の審査員のひとりがラフマニノフだったというのもおもしろい。
ラグタイムからニューオーリンズジャズに移行して云々、と書かれているのを読んでもなんとなくしかわからないのだけど・・・というのも、ラグタイムとニューオーリンズジャズの区別がわかんないのよね。でもなんとなくこのあたりからビバップに移る感じ(ジャズエイジからビートニクに移っていくわけよね)とか、また一方でユダヤ音楽と混ざりあっていく感じはわかる。ブルースとジャズが混ざって行く感じとか、そのあたりのハザマはなんともおもしろいと思える。わたしはビバップは好きじゃないのよねえ。もしかしたらシラフじゃ楽しめないもんなのかも。

すぐにできそうなイラストの仕事なのだけど、こうやって毎回「へえー、この人そうゆう人だったんだ〜」と調べては思うことが多いので、一日かかってしまう。

ギャラリーページの更新。「絡みつくカタチ」シリーズをまとめる。その中に『ハブとマングースの闘い』というのがあって、マングースを描く人をわたしはほかに知らないので、「どうだ、凄いだろう!」と思っていたのだが、またしても「のだめ」で、のだめちゃんがマングースの着ぐるみを着て出て来たので、うー・・・・ん、困ったもんだ、不思議ちゃんにされかねない・・・・と思ってしまった。でも、マングースというのはあんなにかわいらしいもんじゃおまへんで〜。ブラックバスみたいなもんやで〜。増えないように対策中の生物となっています。わたしのマングースは「シャァ〜〜〜〜〜ッ」と立ち上がて威嚇しまくってまして、怖いです。以前も書きましたが、マングースとハブの闘いが好きだったので、映画『ゴースト・ワールド』で剥製がフリーマーケットで売られているシーンを見た時には、この監督は本当にセンスが良いわあ〜と思ったものでした。この映画はどこをとってもセンスが良かったですねえ。


というわけで、マングースは怖い、という話しでした。
アレ?違ったかな。


◆2006年11月22日(wed) 『アリス』展でチェコ大使館へ



「のだめカフェ」のコースターは「かずお君」でした(そうゆうキャラが出てくる)。うしろはあしたの「ニュートラル・ライブvol.3」のフライヤー。マツキヨ氏はグンジョーガクレヨンとセッションするらしいです。



『ヤン・シュバンクマイエルのアリス展』
アリスに使われる小物はどれも魅力的だ。チェスの駒やトランプが好きだ。そこにシュバンクマイエルらしい奇妙なコラージュ動物やあのブニュブニュした肉塊が現れる。古典的要素とシュールな要素がやや耽美的で、わたしの好きな世界なのだ。


チェコセンターではこのようなガラス作家の展示も見られた。たこやハゼなど、これまたわたしの好きな生物ばかりだったので嬉しかった。こんなオブジェ飾れる家に住みたいものだ。

絵のお届けに原宿へ。
工房のそばでした。そして、お昼はそのまま向かい側にある『のだめカフェ』に行きました。行くつもりはなかったのですが、この新しいビルにはたくさんランチできるところができていて、やっぱりちょっと覗きたくなったのでした。ここは普通に入れば少しお高めのライブもやってるようなレストランで、その中に「のだめ」の汚い部屋が再現されているのです。コミック本も自由に読めて、メニューも普通のメニューとは別に「のだめメニュー」が出て来ます。値段的には同じで、吟味していたら、やはり普通のメニューの方が美味しそうだった(サービスの人も普通メニューの方がちゃんとしてます、と決してのだめメニューは薦めないのだった)ので魚のグリルを注文。グランドピアノの前の席に通される。目の前にはスクリーン。のだめのせいかやっていたのは「ザッツ・エンターテイメント」多分1の方。これは映画館で見た。フレッド・アステアやジーン・ケリー、MGMのゴージャスな水着の女王エスター・ウィリアムスの名場面など次から次へだ。先日書いたものがたくさん出てきたので食べるよりも、どうも映画が気になってしかたない。ジーン・ケリーはやっぱり動きがバリッとしてる。アステアのような上品さがあるわけではないけれど、スピード感がすばらしい。ほかにもたくさんのスターのダンスシーンを見て、やはりアメリカのミュージカルダンスの厚みを感じてしまった。歴史だよねえ。アメリカのごく少ない自慢できる文化のひとつだと思う(失礼)。食べ終ってもしばらく見ていた。それから入り口そばの「のだめの部屋」鑑賞。見なくても良かったがなんとなく誘導されたので見た。漫画も見てないし(タワーレコードで5000円以上買ったら抽選があって、ハズレでシールもらった。いらないから工房の柱にくっつけているが誰も持っていかない)部屋もよく知らないから、別におもしろくもないんだけど、鍋の中に黒いものが入ってました。好きな人は嬉しいと思います。写真もあるんだけど・・・別にいいよねそんなの。ちなみにコースターは「かずお君」で(説明なしです)、子どものおみやげにもらってきました。

映画の中のライザ・ミネリがお母さんのジュディ・ガーランドを紹介するのがなんか良かった。音はかすかにしか流してないけど、見るだけでも良い。ガーランドの少女の時のおかっぱ風の容姿が金子國義の描く「アリス」にそっくりだったのでおどろいちゃいました。
きょうはそのあと工房で刷り増し作業等。

きのうわたしとナネットタンバラー嬢とでエミリー英会話(非常におかしかった。「量」についての例文を話していた時に、いつも気になっていたことを思い出した。外国のポップスに『リルビ、リルビッ』(a little bit)ということばが多くでてくるのが、なんだかおかしくて仕方ない、ということを言ったのだが、うまく通じなくて、いつのまにかそれを使って文章を作るハメになってしまった。違うのになあ・・と思っていたら、ナネット嬢が順番が来たので現れた。ナネット嬢真面目につき一緒になって例文など考えてくれるのだが、『いやそうじゃなくて、リルビッがおかしい、って言いたいだけなんよね〜〜〜』というアホなわたしのことなんぞわかるわけもなく、二人はがんばってくれるのだ。さらにわたしがドツボにハマるようなことを言ったら、ついにエミリー先生「アメリカンソングにリルビッという歌があるのか?アメ〜〜〜リッカ〜〜〜ン」と勝手に歌い出した。OH〜〜NO〜〜!そこでわたしの気力がビチッととぎれてしまい、ノープロブレム、と話題をひっこめるのだった。謎のままに終る。)のあと近くにあるチェコ大使館に附随しているチェコセンターへ。

ヤン・シュバンクマイエルの新刊本『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』展を見にいった。 豊かな発想のコラージュでできたこの本の原画展です。久々にいい本を買った。来週は新作映画『ルナシー』ほか見たいと思う。

そのあとは一人で銀座へ。伊東屋へ。頼まれていた額をとりにいく。
マットを作ってもらっている間にわたしのあとの展覧会、アンティークフラワーイラスト展を見る。この展示をやってる方は毎年ここでやっているそうで、わたしの展覧会の時にも2度ほど訪れてくれて、コッソリ事前にどんなものが出るのか見せてもらったのでした。アンティークな絵本や図鑑を買い付けて、美しく額装している。薔薇のイラストもきれいだけど、その中にマザーグース物などが隠れていた。わたしはハッキリいってこの方よりこのあたりは目利きだ。・・・・これは・・・・・一体いくらで出すおつもりなのか・・・・。どうも話していると、あまり価値がないと思っているフシがある。イラストと楽譜が対になっているものなど、幼稚園の先生にどうかなあ、などとおっしゃる。エ??多分感心もつのはもっと違ったタイプの人ですよ・・・とまでは言ったものの、そこでやめておいていたのだった。そして、きのう、マザーグースよりももっと素敵なものを発見。しかも、まったく価値を認めてない風。「欲しいの?いいよ、いくらでも」などとおっしゃる。実はとてもかわいい絵本をお安く買わせていただきました。薔薇のイラスト類はとても高価ですが、こうゆうのは安いみたいですよ・・・・・

きのうは良い本を2册買いました。
しあわせでした。

あしたは、マツモト氏が江古田のフライング・ティーポットに出ます。イヅミちゃんの企画で、The 渋ヤング、グンジョーガクレヨン、おにんこ!、イヅミちゃん、という出演者たちです。マツモト氏はソロとグンジョーガクレヨンとのセッションのようです。完全即興です。グンジョーガクレヨンはかっこいい。宮川ドラマーと組原さんのギターはうねるようで鋭くて、大好きです。そこに即興チェロのマツモト氏が入ります。楽しみですね〜〜。でも、多分わたしは行けないんです。是非、聞きに行ってください。緊張感がゾク〜ッとすると思います。


◆2006年11月20日(mon) 『柳ホテル』シリーズ更新&デュラス礼讃

★きょうの1枚

『Merry go-round』340×440mm
木馬です。夜には自由に駆けている。

きょうから2枚着衣。
普通はもうとっくに2〜3枚重ねて着てますよねえ、でも、わたし、とても薄着なもので、やっとこさきょうから服そう冬になりました。
天気も悪いので、ジッと家に立て籠りパソコン仕事のみ。
きょうやっとギャラリーページの中の『柳ホテル』シリーズの第二段だけUPすることができました。柳ホテルシリーズは少しづつ増えてます。ほかにもこのシリーズに入れてもよいものがあるのですが、とりあえず、個展ごとにわける、というのを基本方針としてシリーズ分けをしています。
『柳ホテル』シリーズは物語を考えながら描いている(妄想だけで)のがほかの作品群とはちょっと違うところです。ネットにUPするのにも、その点で時間がかかるので、まず最初にやってしまおうと思った次第です。このあとも奇妙な生物シリーズなど続けて更新できる予定なので楽しみにしていてくださいませ。

さて、きょうもこれから『のだめカンタービレ』。やっと生で見られる。

先日わたしの最初の個展のタイトルが「発熱カンタービレ」だったと書きましたが、カンタービレで一番最初に思い出すのは、卒論が「ヌーヴォロマンとヌーヴェルバーグ」だったわたしとしてはマルグリット・デュラスの小説『モデラート・カンタービレ』なのでした。最近の人は彼女のことを映画監督だと思ってるかもしれませんね。でも、小説家よね、やっぱり。この小説は『雨のしのび逢い』というジャンヌ・モロー主演の淡々とした映画になりました。『かくも長き不在』というさらに淡々とした映画もあります(傑作。でも誰にもすすめません。)が、両方ともウヒャヒャというおもしろくさはまったくありませんが、観念的映画(!)としては一時代を築いたと思います。嫌いじゃないんだなあ、こうゆうのが。『二十四時間の情事』もデュラスですね。『破壊しに、と彼女は言った』など、題名がまたわたし好みでした。
わたしはジャンヌ・モローが好きで、トリュフォーの『突然炎のごとく』や『死刑台のエレベーター』は秀逸なのはわかっているのだけど、もっと暗くてこの人にピッタリだと思った映画が『マドモアゼル』で、テレビで一度だけ見てドンヨリと重たい気持ちになった作品です。これもデュラスの女ならではのクールでありながらも情念に満ちた怖いところがたっぷりです(脚本担当)。これも誰にも積極的におすすめはしませんけどね。
『ラ・マン』がもしかしたら一番一般的に知られているかもしれませんね。長きにわたって、ずっとこういった淫美ながらも乾いた世界を描きつづけたデュラス。わたしは好きだし、その常に高い意識を持ちつづけるという気高さと集中力は尊敬に値すると思っています。
『ラ・マン』『インドネシア』などを見ることで、フランス人がベトナム近辺でどんな風に生活していたかの一部を垣間見ることができる。歴史が好きなのでこうゆうの結構好きなのだ。

「のだめ」見る。クラシック音楽という設定が珍しいし、音楽をやる人の話しというところで共感もあるしおもしろいのだけど、悪いがこののだめちゃんキャラは相当ヤバイ。こうゆうハッキリ言って不思議ちゃんキャラは少女漫画独特で、で、こうゆうキャラだけど結局は王子様に一番好かれている、という設定は、全国のヤバイ子ちゃんを救うわけだが、きっと作者もヤバイんだろうなあ。救われたいんだろうなぁ。しかし、こうゆうヤバイ不思議ちゃんを本当にかわいいと思う男が多勢いるんでしょうか?ほんとに・・・。いるんだよ。きっと。のだめちゃんはピアノは特別!という設定みたいだから、それで充分救われて良いとは思うのだけど、「わたしはブスでノロマでマヌケなカメでしゅうゥウウ〜〜〜うるうる」なんて自ら言うヤツはこのオレッチが鋲の千個ついた12cmピンヒールのブーツで東京タワーのてっぺんから蹴り飛ばしてくれるわっ!恥を知れ!恥を!カメに謝れっつーの!

では、お休みなさいませ。

★松本里美の個展のお知らせ★
2006年11月1日(水曜日)〜15日(水曜日)
銀座伊東屋8Fミニギャラリー松本里美銅版画個展『live! together-love! creatures』
http://www.satomin.jp/info/exhib/itoya06.html

終了しました。みなさま、ありがとうございました。

◆2006年11月19日(sun) おそまつでした

★きょうの食卓

『パスタ3品』でんぷんばかり摂取してしまった。
手前「たらこ」、左上「ボンゴレ」
右上「きのこクリーム」。
トマト系はなかった。サイゼリアよりおいしくできた。


川にでかけて、そこで「たこ焼き」を作る予定だったが、雨になってしまい中止。昼は家の中でアウトドア用たこ焼き器にて男衆が作る。わたしは食べるだけで楽だった。

午前中は掃除をして、絵本の整理をする。たくさんあるのだ。絵本が。でも、そろそろ絵がそうでもないものはなんとか処分しようと思っている。誰か貰ってください。いつかリストを作ろうかと思ってます。午後は個展の整理を少し。紙類が大変なのだ。最近は銅版の整理はパーフェクトの状態となり、きのうは額の整理と写真撮影をした。倉庫にしまっている絵のエディション番号を表に記入。パーフェクトだ!
サイトのギャラリーページは去年の春ころからずっと更新していない。あまりにも絵が溜まりすぎているので、これを整理するのは至難の技なのですよねえ・・・・。

今年、わたしは我ながら驚異的なスケジュールをこなしました。
3回の個展。4回のグループ展。5回の百貨店出品。ライブは11回。内訳は、サボテンのライブ6回、ソロのライブ5回となっている。
展覧会は必ず新作を作っていて、その度に集中してテンションをあげてこれたと自負しているが、ライブの方はなかなか新作というわけにはいかず、これが残念だった。新曲は数少なかったけれど、一人で頑張るだけが道じゃない、ということがわかったことについては、今までのヒトを頼れないような生き方が少し柔らかくなって、随分と前進したなぁ、という気分で、この歳になってようやく『一緒にやっていく』ということの2〜3倍にも楽しめるやり方を覚えた。この『一緒にやる』という考え方が多分絵にも表れたのだろうと思う。今年最後の個展『live! together love creatures』はおそらくそんなところから生まれたのだと思う。

兎に角やりたいと思ったことはやろう、とゆうやり方だったため、絵の点数が非常に多い。没作品もあるにはあるけれど、描けるだけ描いたような気がする。本当のことを言ったらもっと描きたい題材があって、サッサとできればいいのに、と思う毎日なのだ。音楽の方にしても、あんな曲こんな曲作りたい曲の構想はいつもある。でも、曲の方は絵よりも段取りが実は非常に大変で、絵のようにドンドンできないのだ。これは悲しい現実。
早く『たこ女』になりたい。手が6本あればもっといろんなことができる。たこ焼きを食べながらたこを恨めしく思うのだった。

ギャラリーページの更新のための段取りはなんとなくできたので、あしたはようやく絵のサイズ合わせなどする予定。さらに、12月のライブのフライヤーを制作。サボテンのサイトへも情報をようやくUPできた。
12月22日に久々にサボテンの企画ライブがあります。今回のタイトルは『リバーシブルな音楽』です。江古田フライングティーポットです。
イヅミちゃんの考えたこのタイトルがいいでしょ。スルメンズの反転画像を使って制作してみました。カッコいいでしょ。

サボテンは二人とも最近は別々の活動もしています。今回はサボテン(初期のようなヘニャリとしたのでやってみたいと思ってます)として勿論やりますが、イヅミちゃんはBONSAItでも一緒にやっているリョーコちゃんと、わたしは牧野くんと(多分ドラムも入れてもらうと思います)もやります。牧野くんは湯浅湾で一緒にやっているドラムの山口さんとのduo。ほかに%ホセも出ますので、いろいろおもしろい音楽が聴けて楽しいと思います。是非いらしてくださいませ。
次の日は工房の大掃除だなぁ・・・・忘れないようにしなくっちゃ。

毎日存在の重さをみなさんに感じてもらうために料理に精をだしている。2ヵ月間ほどわたしはまともな料理を提供していなかった。で、復帰して最初の日は普通に焼き魚と煮物程度だったのに感激された。しかし、みんな貪欲なのよね。次の日には京都のおみやげの生麩を揚げ出汁風にして、みず菜とお豆腐の鍋とかしちゃってすんばらしかった。次の日はすき焼きでゴージャスだった。きょうは三種類もパスタを作ったというのに、食べ終ったあとの感想がほとんどNOTHING!!!絵の感想同様、料理の感想も言わなきゃ駄目!

大学生の頃、冬休みで実家に帰った時のこと、ある寒い日、母と二人キリでの夕食となった。その日は母は買い物に行く気もせず、父も不在だったため、まったくやる気のない様子だった。ご飯とおみそ汁(ワカメのみ)と焼き鮭のみというあまりといえばあまりな夕飯がでた。普段母の食事は旅館並に品数が多いので、いつも条件反射のように言う「ごちそうさま」が、ウッと止まってしまい言えなくなってしまったのだった。そこで「ごちそうじゃありませんでした」と箸を置いて頭をさげて挨拶したら、母も「ハイ、まったくおそまつでした」と答えた。

二人で大笑いした。
そのくらいの感想を述べて欲しいものだ。



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★松本里美の個展のお知らせ★
2006年11月1日(水曜日)〜15日(水曜日)
銀座伊東屋8Fミニギャラリー松本里美銅版画個展『live! together-love! creatures』
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◆2006年11月18日(sat) 存在の耐えられない軽さを食事で打破する

★きょうの一枚

『朝の顔』

会場とほとんどの絵をコチラに載せました。見てね。
http://www.satomin.jp/info/exhib/itoya06all.html


偶然なのかなんなのか、きょう『ピアノの本』の千蔵さんの原稿がFAXで届き読んでいたら、おととい書いたガーシュインについてのエッセイだった。まさかこんなに早くガーシュインのイラストを描くことになるとは思わなかった。イラストレーターを言わないことにした、と宣言したばかりですが、この仕事もやり続けているし、今月はほかにも立体イラストの仕事というのもやらねばならない。な〜んだ、やっぱりイラストレーターしてるんだなあ。このエッセイでははからずも『ガーシュウィンは『ラプソディ・イン・ブルー』でよく知られているジャズの作曲家だが・・・・』と書かれていておもしろいなあ。まったくジャズの人として書かれていた。

さて、きょうは個展の作品を倉庫にしまいました。その前に全部の写真をとりました。サイトのギャラリーページをずっと更新していないのでここらで奮起してやろうと思ってます。とりあえずは、今回の雰囲気をまとめましたので、コチラからご覧になってください。
http://www.satomin.jp/info/exhib/itoya06all.html

きょうはほとんど倉庫の整理と写真で終ってしまいました。
そして個展中まったくできなかった料理に日々勤しんでます。存在忘れられそうになってましたもんねえ・・・ここらで存在を確かめてもらわないとね。

12月22日に久々にサボテンのライブがあります。今回のタイトルは『リバーシブルな音楽』です。江古田フライングティーポットです。

お待ちしてます。

★松本里美の個展のお知らせ★
2006年11月1日(水曜日)〜15日(水曜日)
銀座伊東屋8Fミニギャラリー松本里美銅版画個展『live! together-love! creatures』
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終了しました。みなさま、ありがとうございました。

◆2006年11月17日(fri) 『一緒に行くかい?』

★きょうの一枚

『一緒に行くかい?』365×275mm
と、君を誘ってみた。

「行きたいけど、途中で帰っちゃうかもぉ〜」とその犬は言った。

トロンボーン奏者は頭の上に鳥を乗せている。わたしもこんな風に歩いてみたい。

赤い絵と青い絵が多い。
自分ではわかってなかったけれど、何人かの方にそう言われて確かにそうだと気づいた。

発色の良い赤は子どもの頃からの「わたしの色」なので、元気な感じの色とはいえ、一番わたしにとっては落ちつく色のような気がしている。元気であろうが元気じゃなかろうが。青はおそらくわたしの作品の中でも物語性の高いものによく使われていると思う。赤はパーソナルな色で、青はイマジネーションの色になっているのだろう。特に、『柳ホテルシリーズ』は深いブルーが基本の色となっていて、この架空のホテルはブルーの屋根、ブルーのフロア、ブルーの食器になっている。物語といっても、セピア色にしてしまうと古めかしい雰囲気になってしまって、これがどうもわたしには合わない。雁皮刷りという薄くて淡い色のついた和紙を一枚挟んで少し柔らかい雰囲気を出すやり方も、あまりやらない。雰囲気が出過ぎてクールさや潔さが失われるのと、せっかくの線の勢いが萎んでしまうからだ。たまに使っているけど、ほとんどレトロ感を出すパロディのように使っている。わたしの『柳ホテル』は古い話じゃないけれど、やはり現実とは違うので、セピアよりもずっと動きがあり、赤よりも少し他人行儀なブルーなのだ。このシリーズでは1枚も雁皮刷りをしていない。

個展をするたびに、2002年からライフワークのように描いているこのシリーズに新作を加えている。ホテルのお客が複数の作品に登場するのが楽しい。よーく見ないとなかなかわからないけど、そんなことになってます。季節によって客は変わるし、従業員にも人生があるので、そんなことを考えていると、どんどん増えていくのだ。さらに、このシリーズには歌を書いていて、1曲できあがると、今度は逆に曲の方から絵が浮ぶことというのもあって、相乗効果で増えていくことになっている。今回は『一緒に行くかい?』と『万華鏡の夜』が増えた。バンドの曲はすでに「Eel Pie Island Song」があるので多分この絵の愛すべきバンドの曲は作らないと思う。『万華鏡の夜』は曲になるかもしれない。結婚式の夜なんだけど、本当はただの夢かもしれない。ちょうどこの絵を描いている時にママクリオから歌の宿題を貰っていて、インスト曲に歌詞を考えていた。だいたいできていたのだけど、何か足りないものがあり、できあがっているようで全然未完成な状態で数日が過ぎていた。万華鏡の模様を描きながら元曲を聞いていて、いつかこの『万華鏡』という日本語以外にピッタリするキーワードはない、と思っていた。
手帳の色は来年はブルーになる。今年が赤だったから。交互になっている。引き出しに並べた時、赤/青/赤/青・・・とストライプになるのが気持ちいいのだ。


きょうは家の中を少し片付けた。紙類の整理もする。クリーニング屋にも行き、少しだけサッパリした。
午後は工房。先日取材のあった『版画藝術』の原稿のFAXが来ていた。12月に出るそうです。工房『ザボハウス』が見開きで紹介されます。わたしの写真も出てました。さらに文章のところにも「イラストレータで立体作家の松本里美さん」と出てました。イラストレーターってゆうのやめたばかりなので戸惑うのだけど、さらに立体作家なんて一言も言ってなかったと思うので二倍戸惑うのでした。でも、立体は作ってるんだから間違ってないですね。ミュージシャンとは書いてなかったです。言ってないし。みなさん、お楽しみに。写真がFAXでつぶれててあんまりみえなかったんだけど、変な顔に写ってなければいいなあー

★松本里美の個展のお知らせ★
2006年11月1日(水曜日)〜15日(水曜日)
銀座伊東屋8Fミニギャラリー松本里美銅版画個展『live! together-love! creatures』
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◆2006年11月16日(thu) 『巴里のアメリカ人』を思い出す「のだめ」

★きょうの一枚

『I caought the Rabbit』
兎を追いかけて行ったアリスはついに兎を捕まえることに成功しました。でも、捕まえた瞬間半分兎になっちゃった。
と、とれない・・・・・恐怖。

昔読んだ楳図大先生の漫画なんぞがトラウマです。

個展が終ったので、やっと子どもに録画を頼んでおいた「のだめカンタービレ」の一番新しいのを見る事ができた。
今週はラフマニノフのピアノコンチェルト第二番が中心。これは高校生の時にもしかしたら一番聞いたクラシック音楽かもしれない。引き蘢って本を読んだり漫画を描いたり、変な小説を書いていた頃、これがシックリきていたのだ。なにやら、雪の中をただ歩いていって死んでもいい、みたいな感じのベタベタしたところがあって、青くさい高校生にピッタリだと思った。ウチにあったレコードをカセットにおとして聞いていたものだったので、今自分では持っていない。ほかに良く聞いていたのはベートーベンの「皇帝」と「英雄」でした。変でしょ。でも、好きだったの。
このドラマのテーマ曲のひとつガーシュインの「ラプソディ・イン・ブルー」はどうしても映画『巴里のアメリカ人』を思い出してしまうので、わたしの中ではクラシック扱いになってない。ハリウッドのミュージカル音楽になっている。この映画はジーン・ケリーとレスリー・キャロンの壮大なバレエシーンが有名で、癖のあるジーン・ケリーは、嫌だなあ、と思いながらもこの映画は凄いもんだなあ、と感心させられたものでした。レスリー・キャロンはもともとクラシックバレエの人だから、姿勢も良くって、格調もある。だけど、顔がプリティなんでどうもこの映画には合わなかったような気もしないではない。「足ながおじさん」の方がはまっていたと思う。ジーン・ケリーはやっぱり「雨に歌えば」になってしまうなぁ。ほかはフランク・シナトラと出た水兵さんの映画。てなわけでガーシュインをどうしてもミュージカルの人に入れてしまうわたしです。
ちなみにこの映画の監督ヴィンセント・ミネリの娘ライザ・ミネリさんは・・・今どうしているのでしょう?『キャバレー』1本だけで好きだった。春に珍しくカラオケに行った時にこれを歌ったら、相当楽しかったので、次回という機会があれば、完璧に踊りながら歌いたいものだ、と思っています。
バーブラ・ストライサンドも引退してしまった今こうゆう大御所いなくなったなあ。と、調べてみたら、波乱万丈ありながらも今も現役でがんばってました。良かった。お母さんのジュディ・ガーランドはレスリー・キャロンのような感じのかわいい女優さんだったけど、『オズの魔法使い』のかわいらしさは、レスリー・キャロンのかわいらしさよりもおしゃまな感じで好きだった。


そういえば、きのう書いた似顔絵を描いてくれた画家のオジサンは、「君、カラオケなんかする?一緒にうたいません?」と言ったのだった。ただのスケベ親爺だったのでしょうか?「カラオケは行きません」と嘘をつきました。でも多分行ったの3回キリだと思います。

「のだめカンタービレ」は音楽以外の部分では別に興味をそそらないのだけど、久々にクラシック音楽が聞けるし、音楽に取り組む姿勢に共感する部分もあって楽しみに見ている。ちなみに、わたしが初めてやった個展のタイトルは『発熱カンタービレ』というヴァレンタインデー向けのものでした。副タイトル「触ってみなくちゃあの子はわからん」です。この副タイトルはギャラリーのあった西武のコピーライターの方が考えてくれたものでした。さすがにうまいなあ、と思ってます。立体の楽器に触ると音が出るものだったので。懐かしいな〜〜、また立体制作したくなったよ〜ん。平面もいいけど、立体があると明らかにわたしは楽しいと思える。

きょうは久々のエミリーの英会話へ。2週間やってなかったら、まるで英語が出てこなかった。疲れた・・・・。そして工房復活。せっかくお菓子を持参したのだけど、すご〜〜く人数少なかった。今大きい作品制作のチャンスです!わたしはあしたは一番大きいのを刷ることにしたぞい。

★松本里美の個展のお知らせ★
2006年11月1日(水曜日)〜15日(水曜日)
銀座伊東屋8Fミニギャラリー松本里美銅版画個展『live! together-love! creatures』
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終了しました。みなさま、ありがとうございました。

◆2006年11月15日(wed) 閉店ガラガラ〜〜ッ


今年はこれで展覧会はお終いでーす。サンキュ!

わたしと母です。レストランはもうクリスマスツリーが飾られてました。母は77歳です。銀座だっつーんでオシャレして来てくれました。銀座というのは何かこの年代においては特別なものを感じるらしく、ちょっと親孝行した気持ちです。でも、実は母のサングラス、片方耳にかける部分が無かった!タクシーのドアでぶつかって破損。平気でかけてました。



これが母が感激した問題の品。母は合羽橋で買い求めるのでしょうか?上、わたしが注文したのはワンディッシュランチコース。きれいでしょ。

画家のオジサンが描いてくれたわたし。





★きょうの一枚


『Wolf coat/送りオオカミの秋山くん』


帰りの車の窓から見た銀座通り。いつのまにか街はクリスマスになっていました。

閉店ガラガラ〜〜!

楽しかった個展がきょうついに終わりました。
ちょっと暇だった連休を挟んでの前半は、解説が丁寧だったせいか『英国フード記A to Z』の本が良く売れました。半ばにはギャラリーのレイアウトを大幅にチェンジ。立体作品を持ってきたことで俄然わたしらしくなりまして、持参した本を読んでは接客という楽しい時間を過ごしました。後半はいよいよパソコンまで持ち込んで、音楽を聞きながら店番。コーヒーを飲みながらさらに居心地の良い環境が整ったのでした。後半はたまにスルッと大きい絵が売れたりしてうれしい限り。お店の中だし15日間もあったので、200人くらいの方が名前を記入して見てくださいました。
最後の三日間はバタバタと夕方頃から知り合いが現れてはバイバイとなりました。

月曜日は昼に母と姉のいつものコンビが登場。お買い物をしてメルシー券もくれた。この日ばかりはギャラリーを抜けてお食事。以前グルメなマダムに教えていただいた近くのニューヨークスタイルのモダンで素敵なレストランに行きました。おいしい上にきれいだしワインもおいしいし(昼だけど1杯飲みました)、サービスも感じがよいのよねー、しかもそんなに高くないのでとても気に入ってます。
母は相変わらずおもしろい。疑問があるとなんでも質問するのがまったくもってわたしにそっくりそのまま遺伝。今回はパンくずをササッと掬うステンレスのサーバーに釘付けでありました。「それはどこで買えるのかしら?ちょっと使わせてくれる?」「エエ、どうぞ、業務用ですからねえ、合羽橋あたりじゃないとないかもしれませんねえ」「アラ、おもしろいわねえ、ヒュルッと採れるわねー、ヒュルヒュルッとー。欲しいわ〜いくらくらいかしら?」「結構するんですよ、1万円以上すると思いますよ。テーブルクロスをされてますか?クロスがないとうまく掬えないんですけど・・・」「アラ、残念、クロスはしてなかった!」ちなみに我が家のテーブルにはテーブルクロスがかかってますけどね。
デザートに入ったところでサービスの方が胸ポケットに刺せるタイプのものを持ってきて、また実演してくれる。さらに母「それもいいわね〜、これも合羽橋?」「いえ、これはハンズでも買えるでしょう」とこのサービスの方も気さくでした。たっぷり1時間半ランチを楽しんでわかれました。
この日は夜になってこのお店を教えてくださったマダムとご主人がみえまして、同じビルにある、やはり素敵なモダン・チャイニーズのお店に連れていって貰いました。大人〜〜な雰囲気です。黒いの。マカオの夜みたい(行ったことないけど)で、ブラジル人がギターを持って現れて、数曲ジョアン・ジルベルトやりました。またしてもワイン。昼はアルゼンチンの赤で、夜はブルゴーニュのピノ・ノワールざました。おいしーござんした。このご夫妻は本当に話が多岐にわたっていて楽しいです。すっかりごちそうになってしまいました。またおいしい所、教えてください。

この日は各方面盛りだくさんのご来場でした。年配の元気な画家さんが来てお名前カードに名前を書きながらお話。「よ〜し、君の似顔絵を描いてあげよう!」とその名前カードの隅っこに描いてくれた。微妙にポーズをとらせられた。写真集を出した方が本を買ってくれて、サインをしたら猫の写真集を1冊送ってくれることになった。その方に銅版画の説明をしているときには、よく行く近所の画材屋の店員さんが来ていて、一緒に版画話をしていったし、百貨店のギャラリー企画をされている方がいらしていた時には、額をたまに注文している青葉台の額屋さんがホルベインのカレンダーを持って見にきてくれて、一緒に話していた。湯浅湾リハ前に牧野くんも寄ってくれた。忙しそうだけど、12月の江古田のサボテンの対バンよろしくねー。ベルギー、シメイビールもサンキュでした。
これらの方は特に絵を買って行くお客ではなくて、わたしがどんな絵を今描いているのか確かめにくる、ということだと思うのだけど、はたしてわたしの絵についてどう思っているのか・・・・。図鑑の細密画を描いている古い友人。わたしの「チップス先生さようなら」のイラスト(版画だけど)がとても好きだといつも言ってくれている。そう言われれば嬉しいのだけど、今回からわたしはイラストレーターとは言わないことにしたので、ちょっと複雑だなぁ。何年も会ってなかった昔同じ工房にいた強烈キャラ女史がフラリと現れて「『宇宙人サラリーマンぬめり』の方向で、今後もよろしく」と言って去っていった。おもろい人だ。母はわたしの「隙間作品」&「ダーク作品」には目もくれない。まったく無理解で、馬鹿馬鹿しいと思われている。次の日に来てくれた工房の友人に「人物うまいなあ〜」と言われるが、数日前に来てくれたセツ・モードセミナーでお世話になった先生には「人物は難しいよなあ」と唸られる。まったく微妙な言いよう。まだまだ下手だなあ、という意味なのかしらね。
新作も旧作もわたしの同じ目線を感じてくれる人もいれば、ずいぶん変わったと言う人もいる。「力作だ」と言ってるのに「ふざけてると思った」と言われる時もあれば、「冗談で描いてみた」と言ってるのに「感動しました」と言われることもあった。一番うれしかったのは、数人の人に「間違ってないよ」と言われたことでした。これから行こうとする方向は間違ってない、と言われたことにはとても力づけられた。こんなにたくさん発表しつづけられたことに対して(今年は3回個展をして、そのほかにグループ展も数回やり、必ず新作を作りつづけた)、自分でも気力と想像力と好奇心がよく続くもんだ、と感心しているのだけど、そんな環境にいることができることに対しては回りの人に感謝している。
発表してしまえば言葉なんて何の意味もない。それでも、わたしの妄想はわたしだけの物で、その絵に歴然としてあるその元の妄想はわたしが言わなければ封印されたままで、どうも性格的にそれが我慢ならない。そんなわけで、絵について話すチャンスがある場合はそんな妄想話をする。それは、必要ないとか必要だとかって問題じゃなくて、ただ単に「我慢できない」から。

昨日はおにんこ!の二人が入れ替わりに来てくれて、ゆっくり見てくれた。ありがとう。たまに個展に来てくれる方に、昔の個展の時に見た絵が「やっぱり欲しいんだけど」と言われて注文を受けた。こうゆうこともたまにある。「ほら、ほら、鳥が飛んでいてそれを下から人が見てる絵」という説明だった。しっかりその時の値段も覚えているらしかった。わたしは遠ざかる制作の記憶を辿りました。1枚も刷り増しのないものでした。わたしの記憶は朧げなのに、「欲しい」と思っていた方にとっては絵の内容もプライスも鮮明な記憶が残っている不思議・・・。個展は興味深い発見の宝庫なのであ〜〜る。

『柳ホテルのカップ&ソーサー』の模様Blue Willowには歌がついているのよ、と数年前に教えてくれた歌手のタカノマキがひら〜っと現れた。彼女はこの歌をイギリスのホームステイ先のおばあちゃんに教えてもらい、わたしにメールで知らせてくれました。そのあとわたしは日本語の歌詞も加えてソロ曲に仕上げました。パソコンのiTuneに入れていたので、ついに彼女にその曲を聞かせることができました。「な〜るほどねー、らしい感じになってるじゃ〜ん」と言ってくれた。感動的ねえ。きのうは最後にもっと感動的なことがありました。先日亡くなった方の遺品を絵を見にきてくれた奥様にいただいた。マルクスブラザースの本だった。そうだった、そんな話しをたくさんあの方としたっけ・・・と一気にその時のことが思い出されてしまい涙が出た。

きょうも素敵な人たちが尋ねてきてくれた。
草思社の編集長であり詩人の一色さん。『送りオオカミの秋山くん』の話しをする。一色さんは夢のサイトを作っている。ただ単にその日見た夢を書き込む。わたしの秋山くんも夢の中の人なので、教えて差し上げた。
以前わたしの絵を買ってくれた女性が、偶然ギャラリーに足を踏み入れた。お互いにビックリして絶句してしまった。まったくの偶然だったので感動的だった。『ちょっと通りかかったらきれいなのが見えたから見てみようと・・・と思ったら松本さんの絵だった!』と言うので嬉しかった。銅版画で初めて個展をした時のお客さまでした。その時と今と、やっぱりあまり根底では変わってないのだろう、と思った。
最後に来てくれたお客さんも感動的だった。2002年に広島のバザレで初めて個展をさせて頂いた時、近くに住んでいた大学生の女の子が見に来てくれました。わたしがちょうど一日だけ東京から伺った時にお会いした人。その後東京で一度彼女の個展にお邪魔した。それからさらに数年たち、彼女は今月からわたしが行っている原宿の工房に入った、というのだった。なんという長い旅路の末の出会いだろうか。今月1日からわたしは個展が始まりまったく工房に行ってないから、この方が入ったことなんぞ全然知らなかったのでした。なんだか、楽しいできごとでした。彼女が本を買ってくれたので、おまけに小さな版画をプレゼントしました。
そして、何故か最後の最後にもりえZ氏が突然現れ(なんと3回目だ!銀座でよかった!)搬出を手伝ってくれたのでした。本当に助かってしまいました。ありがとー!!

伊東屋さん、長い間お世話になりました。いつのまにか店員さんとも顔なじみになりました。見に来てくださったみなさん、絵を買ってくれたお客様、まったくほったらかしだった家族のみなさま(さまさまです)ありがとうございました。あしたからまた工房へ。仕事して家事をして絵を描いてギターの練習をして・・・・といういつも通りの日々です。次のイベントはっと・・・12月22日江古田フライングティーポットのサボテンのライブです。
閉店のちまたすぐ開店。

★松本里美の個展のお知らせ★
2006年11月1日(水曜日)〜15日(水曜日)
銀座伊東屋8Fミニギャラリー松本里美銅版画個展『live! together-love! creatures』
http://www.satomin.jp/info/exhib/itoya06.html

◆2006年11月12日(sun) わたしの世界

★きょうの一枚

『Tide Pool Hat』365×460
Live together
潮だまりとわたしがひとつになる。
この場所は小さいけど、大きな宇宙がある。

わたしの今です。

昼に到着。
もう群馬からのお客さんが来ていた。ナガシマさ〜ん、早過ぎるよぉ。あいかわらずゴルチエで。本当に長いおつき合い。サボテンのサティライブ企画をしてもらってからもうウン十年もたってしまいました。
早い時間だったのでまだお客さんも来なくって珍しくたくさんお話しできて良かったです。
それからこのナガシマさんにどうも印象がかぶる原宿の珈琲屋さんのご夫婦が入れ代わりに現れてビックリ。あんまり似てるから是非お茶しに行ってくださいよ、と言ったばかりだったのよ。でも、きょうは定休日だったようで・・・な〜〜んだ、楽しいご対面の実現を時間差で逃してしまったよん。着てるものもヒゲの感じもしゃべり方も似てるのよねー、だからどうしたってこともないんだけど、似てるのっておかしい。
この珈琲のお店はギネスも美味しい。ヒッソリ行きたいお店なので教えない(すみません、商売の邪魔して)ですが、赤犬の絵が以後飾られることになりまして、嬉しいです。行く愉しみがひとつ増えた。

そのあとは最後の日曜日だからなのかドンドン知人が現れる。わたしの絵を初めて見る人もいたし、久しぶりの人もいた。最近の絵はわたしとしては思索的なものになっていて、今までのダイレクトな(本当はそうでもないと思うんだけど)印象と違っていると思うので、きっと賛否両論だろう、と覚悟していたのですが、まさにそんな感じではある。それでも、前に向かっていることについて、同じところにとどまらず自分が行くべきところを模索している気持ちは充分に伝わっていた、と思いました。何人もの方が新しいシリーズについてわたしの気持ちを代弁するかのような感想を言ってくれたことに対して、本当に嬉しいと思ったし、多分間違っていないのだろう、と自信を持った。みんなの言葉が沁みる日でした。芸術はなかなか理解されないのだもんねー、わたしはイラストレーターという言葉はもぅ使わないことにしてます。それは今回からなのですが、そうゆう気持ちなんです。

 

額屋さんで時々額を作ってくれている女性、いつも来てくれます。きょうはリスの話しや紋章の話しをして楽しかった。昔の紋章は動物や花や、土地の印が記されている。これらを調べると実におもしろいのですが、これはまたの機会に。
写真を撮っている古い友人、「おしつけがましくない空気がある」と言ってくれた。それはきっと良い環境にわたしが生活できているからでしょう、と肩を叩いてくれた。絵って、不思議だとつくづく思う。本当にいろんなものが写し出されているのだよね。ちょっと怖い気もするけれど、正直に生きていれば別に怖くはない。誰に見られても怖くないもの。

メルシー券盗難事件・・・・きのうそんなこと書いたら、また入れてくれたのよね、チイちゃんのおかあさん。ありがとう。さっそくお財布にしまってしまいました。投げ銭ありがたくいだだきました。もりえ氏がTHE WHOの新譜を持って来てくれた。感謝です。 家族もワサワサッと来てバババッと見て行った。子どもは絵がいくらなのかチェックしていて、自分のをコッソリ飾ってみたら売れるかどうか、と考えていた。値段は100円だそうだ。そうだなあ・・・・売れるかもしれないよね。もしかしたらわたしの絵よりも売れるかもしれない。そして久しぶりの千駄木くんがじっくり絵を鑑賞してくれて、一緒に帰る。心強い感想を言ってくれたので本当に嬉しかった。千駄木くんとはシュバンクマイエル話しほか、博物館、日本映画、アニメーション話しを。変なものは大抵一緒に見に行ってますねえ。そうゆう時だけ会ってる気がする。おいしいビールを飲んだ。

あしたは、早めに行っていろいろ整理をしながら店番ざんす。
あしたもお待ちしています。

★松本里美の個展のお知らせ★
2006年11月1日(水曜日)〜15日(水曜日)
銀座伊東屋8Fミニギャラリー松本里美銅版画個展『live! together-love! creatures』
http://www.satomin.jp/info/exhib/itoya06.html

◆2006年11月11日(sat) 実況:メルシー券盗まれる


スタバで買ったコーヒータンブラー。毎日コーヒーを買って行くので、コレを買いました。これに入れてもらうのよん。後ろの万華鏡の絵みたいにな模様です。傾けると模様が変わるヤツね。かわいいでしょ。
★きょうの一枚

『万華鏡の夜』。『柳ホテル』シリーズの1枚として制作。冬の夜の結婚式です。下の方に小さな柳ホテルが見えるんだよ・・・







きょうはお花のリースを頂きました。生花なんですよ。緑のアジサイとライスフラワーでできてます。下にはオアシスがあって、水を含んでいるので生き生きしています。ファイルに入れていたグリーンとブルーののクリスマスツリーに合うので、記念写真です。Oさん、ありがとうございました。一緒に飾りたいなぁ。

最近はもうこのギャラリーに居着いてる妖怪のようなわたしです。巣作りもいい感じになってきて、すっかりわたしのお部屋状態になっています。居心地よいようにだんだんなってきたんです。
最初の日に頂いたお花が枯れてきてしまってどうしよう、と思っていたら、素敵なグリーンの生花のリースを頂き、なんとかかわいく飾りたいのだけど、どうしたものか・・・あしたお皿を持っていこうと思ってます。それに合うグリーンのクリスマスツリーがファイルにあったので、これも出してあげたいなあ。でももう飾る場所も額もない。思いきって壁にセロテープで貼ってみようか、とも考えてます。わたしは作品は大事に思ってるけど、きれいにきれいに扱うことにそんなに執着してないんです(お客さまにはきれいなのをお渡ししてますよ、勿論)。きょうは七五三帰りの子どもがたくさんエレベーターホールから『猫かぶり娘』を見つけて走ってきて、パッと触っては親に怒られてました。わたしは昔から立体作品は触って欲しいと思って作っているし、触りたくなるものを作りたい、と思っているので、そのたびに「触っていいんだよ〜〜」と言いに行くのでした。そうは言っても親御さんとしては注意はするわよね。しない方がおかしいけどね。立体作品は触ってはいけない、というのが普通のことになっている事自体がおかしい。

ギャラリーのある8階の上9階ではカレンダー展をやっています。とても混んでいるもようです。下の方の階ではこの時期は手帳のコーナーが混んでいるもようです。わたしはどちらもあまり縁がない。たとえば、カレンダーは友達のイラストレーターが毎年書き込みもたくさんできて、彼の自作の漫画もついていて楽しめる物を送ってくれるのでそれですんでいる。わたしのデスクの前にはこれまた毎年近所の画材屋でいただいてくるホルベインの小さなカレンダー。そして、なぜかトイレにも必ずカレンダーはあるのですが、今年は友人の版画家中井ちゅん太絵津子嬢の自作の物をぶら下げていました。彼女の版画は色も情景も大好きなんです。チェコっぽい、といったら短絡的だけど、落ち着いた色と明るい色がうまく溶合っていて、郷愁をさそうような情景もどこか東欧の匂いがするのです。絵が気に入っているので、来年も絵だけ切り取ってトイレに飾ろうと思ってます。わたしの絵を買ってくれた知り合いに「トイレに飾んないでよね」と言ったことがある。そう言ったのにも関わらず、事務所に行ったらトイレにあった・・・。でも、中井嬢はトイレに飾られるのは、たくさん見てくれるからちょっと嬉しいかも、と言っていたっけ。そうゆう性格がまた人に好かれるところですね。わたしと違うなぁ。今年は「チャーリーとチョコレート工場」のカレンダーもトイレにありました。これは子どももどうやら日々見ているらしく、しょっちゅう場面が変わってます。カレンダーとしての役割としては使用してない。カレンダーに特に興味がないため(そのためか、国民の祝日もほとんどわかってない)上の階にも全然行ってない。お客さんには「上の階でカレンダーが売れてるから、あなたもあしたにでもパソコンで作って出せば売れるのに」と言われました。しかし・・・一度だけ作ったことはあるのですが、どうも手間がかかる作業なんで大変で、時間がタップリないとわたしにはできません。その内また作ってみたいとは思います。
わたしの手帳は4月始まりなので(ココ2年そうしている)今の時期は手帳売り場にも用事はないのでした。さて、きのうから日記はほとんどギャラリーで書いてますゾ。で、実況中継しちゃいますが、なんてこったい!今酷いことがおこってしまいました。芳名帳代わりに伊東屋さんが設置してくれているお名前カード入れの箱の中にナニゲ(嫌いなことばだが初めて使ってみました)にたまっていた『おひねり』のメルシー券が、何者かによって盗まれていたのでした!数分の間です・・・一体誰がそんな酷いことするんでしょう。わたしは最終日にこれがどれだけたまるのかをとても楽しみにしてたのですよ〜〜。あれは現金と同じなんですよ。しかも、いつのまにか500円はたまっていたんです。もぅ〜ショオオオ〜〜〜ック!きょうはおウチを新築中の素敵なご家族が赤い玄関にピッタリ、とおっしゃって赤い犬『Dog around the Roses』と赤いクリスマスの『Kiss Kiss Boot』をお買い求めになり、説明なんぞを一所懸命していたのですが、どうやらその隙にやられたらしい。反省して返しにきなさい!罰が当りますよ!

本も順調に売れて、20冊以上売ってしまいました。ついにおまけのハンプティダンプティの「HAPPY」ちゃんの原画カードも無くなってしまいました。ほかに何か差し上げるものを探してみますが、無かったらゴメンネ。銀座ならでは、と思うのですが、英国にお住まいだった方というのが結構いらっしゃっていて、思い出話をされていきます。さすがに上品な風情の方が多く、お子様のお稽古帰りなのか一緒に本の原画をご覧になって「どれにする?」とかわいらしく相談。1枚買っていかれました。絵は何かの思い出と繋がる時3倍は愛おしくなる。
実況中継としては、今ICPオーケストラのicp:043を聞いているのですが、ギャラリーらしからぬとはいえ、わたしは案外いい感じだと思ってます。昼間はフランスのアニメーション映画のサントラ『ベルヴィル・ランデブー』を流してまして、これはおしゃれな雰囲気が漂って、わたしの絵にピッタンコでよかったですワ。

額売り場の方と本の原画を見て立ち話をした。デヴィッド・ボウイが好きな方で、『やっぱりEel Pie Islandの話しと絵が一番いいなあ』と言ってくれたので嬉しかったのでした。「そうでしょ、わたしも『E』に一番思い入れがあるのよ、わたしの曲もヒットしてます』と言ってみました。『Eel Pie Island Song』は今年3月に作った曲でした。早いなあ、ロッキントーキン・スライドショーは去年のことのような気がしていたけどね。この方とジョージ・マーティンのビートルズ新作(っていうの?)の話しをした。アレは、何なんでしょうか。わたしは買わないけど、この方は多分買ってしまうと思うというので、借りようかと思ってます。いや、聞かなくてもいいかな。

では、あした。12時頃にはいると思います。

★松本里美の個展のお知らせ★
2006年11月1日(水曜日)〜15日(水曜日)
銀座伊東屋8Fミニギャラリー松本里美銅版画個展『live! together-love! creatures』
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◆2006年11月10日(fri) 個展中ですがDJタイム


きょうからのわたしの定位置。
パソコンを持ってきたので、音楽も楽しめるし、日記も書いてしまいました。効率良しっと。
手前の赤い絵は『In my bed』。イソギンチャクとエビの共生図です。かっぱえびせんではありません。

個展も後半の1週間に入り、だんだんお客さまが増えてきました。
本もスッカリ読めなくなってしまいました。
きょうからついに我慢できずパソコンを持ち込み音楽を聞いております。伊東屋さんではかすかに音楽が流れておりますが、その合間をぬって、店内放送、電話の音、そして場所がエレベーターホールの目の前ということもあって、エレベーターの「チ〜〜ン」「ポ、ポーン」という音や「下へまいりま〜〜ス」という(この声は心地よいです)声がひっきりなしで、絶対音感は無いのだけど、繰り返される音がだんだん頭の中で何かの音楽と重なり、離れなくなっていく。『柳ホテル』シリーズの1枚にドアボーイとベルボーイの絵があって、いつも車の音や鞄の残像がこびりついて離れない人たちを描いたっけ。きょうからは、会場の一角だけかすかにわたしが持ってきたCDの音が流れています。きょうは、ママクリオのお二人がみえることになっていたので、何枚かママクリオでやって欲しい、あるいは、やるときっといいだろうなあ、と思われるものを持っていきました。それにしても、一番聞いてもらおおうと思っていたクレズマーものは、中身が入ってなくって、失敗!ほかにも中身無しのがあってショック。これから捜索するのが大変なんだよねー。しばし、DJタイムとなる。

きょうは滑り出しよろしくて、『柳ホテルのカップ&ソーサー』がまず売れました。やはりBlue Willowのあの模様に魅せられていた方のようで、またまたそのあたりのコアなお話をして小さく興奮です。あの模様とカップに出会ったことで、わたしはとても世界が広がりました。ずっと多分一生このBlue Willowを描き続けるような気がします。カップの絵のシリーズも素敵なカップを見つけたらきっとまた描くだろうし、描きたいものが山ほどあるから100歳まで生きなくてはなりません。
そして、それにまつわり曲も少しづつ増えて行く予定です。何年も関わっているけれど、どこまでも魅力を持ちつづけているBlue Willow。お客さまも「もっとその話しはつづくのでしょうねー、本になるといいのに」とおっしゃるので、う〜ん、本当にそうだよねえ、きちんとした物にまとめたいもんだなあ、と思いました。

★きょうの一枚

ダークワールドNo.1『潜水夫』
説明は無し、とさせていただきます。
あしたはNo.2を紹介いたします。

きのうは帰り際に『潜水夫』が売れた。これはとてもうれしい・・・・。
とてもダークなノリなのだけど、これはわたしの大好きな部分でヤンスね。そして、このSATOMI'S DARK WORLDはデザイナー関係の人の興味をそそっていることに気づいたのでした。う、うれしい。こうゆう世界がわたしは好きなんです。かわいくなくて、怖くて、おかしくて、気味が悪くて・・・そんな感じです。
伊東屋の8階はフレームと版画の売り場になっていて、ここへ来るお客さんは目が肥えている、と見た。こうゆうのに目がとまるというのはさすがだなあ!と偉そうに思うのだった。こういった独特な世界は絶対売れないと思っていたので、驚いたしうれしかった。
この男性は『送りオオカミの秋山くん』と『潜水夫』を悩んでいた。渋いジェントルマンでございました。

そんなこんなで接客にいそしみ、原宿で行われた伊集加代さん(昔は加代子さんでした)のライブ20分ほど遅刻となってしまった。伊集さんは昔ファンだったのです。コーラスではピカ一だったと思います。たくさんのCMソングを歌っているし、吉田美奈子だったか、山下達郎だったか、そのあたりのライブで実際に昔見たことがあって、すばらしいと思った。一番キラめいていたのは多分大瀧さんのアルバムだろうと思います。きのうは3人でネコーズというのをやっていて、ジャズやポップス、そして伊集さんのCMソングやアニメソングなどのコーナ−もあったのでした。アニメは「アタックNO.1」のエンディングの方。「あおい空にバン、ボン、ボボン」みたいの。ネスカフェの「ダバダ〜〜〜〜」もそうでしたね。「イオナ〜〜」とか。やはり伊集さんといえば、スキャットなんだとわたしは思っています。そして、メインヴォーカルを引き立てつつ、シッカリと後ろでコーラスでもって楽曲を支える、というのがうまいっ。きのうは高い声の方担当の山田洋子さんという方がわたしはいいなあと思って聞いてました。まじめな歌いップリで、ソウルがあって、ノリがよくて、気持ち悪い装飾がなくて素敵でした。しかし、ギターの方は野口五郎かヨッチャンかという感じで、なぜにシャツ(それも決まって黒でテラテラしている)のボタンを3つほどこうゆう方たちは外すのだろうか・・・・なぜに茶髪ウルフカットなのだろうか・・・とても不思議なのであります。ギターを習っていた友人の話しだと、彼女の先生も素肌にジャケットで、ゴールドのネックレスだったそうよん。なぜに?うまいし、いいギターだし・・・・でもなんだかねえ。

一緒に行った野田っちとあとで丸美屋の話になった。あ、CMの話題じゃなくて、マーボー豆腐の話題からだっけ。で、急にその時思い出したんだけど、丸美屋の「のりたま」の袋の中には「つけぼくろ」と「つけひげ」がついていたんだよ!知ってる?わたしがまだ小学生の低学年だった時。わたしの右頬にはホクロがあるのですが、その上にそのつけぼくろをつけたり、垂らした前髪の奥、オデコにペタっとつけひげつけて学校に行ったりしてました。授業中おかしくてしかたがなくって、友だちにコッソリ見せて笑わせたりしてました。ほくろの上のほくろは案外すぐに見つかってまして・・・・(当たり前か)、オデコのひげは気づかれませんでした。三つ子の魂百までもそんな小さい頃からひげに過剰な反応をしめしていた、ということがきのう判明しまして、ちょっとショックでした。しかし、なぜに?丸美屋のおまけは「つけひげ」だったの???コマーシャルに出ていた人がほくろとひげの人だったのかなあ・・・覚えがない。

学校時代のショックといえば、わたしは今問題になっている先生からのいじめにさんざんあっていて、無視するように言われたり、隔離されたりぶたれたりヒドイ目にあってます。でも、こんなに明るく生きてます。わたしの場合。そうゆう教師はハナっから「馬鹿」だと思っていたために、馬鹿に何をされても考えるだけ馬鹿馬鹿しいと思っていたから、隔離されてもひとり楽しく(というか、コッソリみんな手紙をくれたりしてました)生きていたのでした。でも、そんな生意気な子は滅多にいないですもんねえ、みんな、そんなことつまんないことだから気にするなよ〜〜、と言いたいですが、そうもいかないんだろうね。難しいな。

★松本里美の個展のお知らせ★
2006年11月1日(水曜日)〜15日(水曜日)
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◆2006年11月7日(tue) いいことありますように

★きょうの一枚

『Kiss Kiss Boot』
こんな模様の白いブーツがあればいいのに。
クリスマスローズ、やどり木、ひいらぎの描かれたクリスマスの絵。やどり木の下では女の人からキスしていいんですよ。という西洋の言い伝えがあるので、それを描いてみたのですが、どんな場所でも別に女の人からキスしてもいいじゃん・・・とロマンチックじゃないことは言わないようにね!
モモンガと北リスとビーバーも描かれてます。祖先は同じなんですって。

今回は15日間という長丁場な個展です。毎日行くのは大変とお思いでしょうが、制作の時は忙しくても、終ってしまえば何もすることなんてないのだから、わたしは毎日楽しく銀座へ通っています。365日間の内のたったの15日間ですからねえ、全然短いです。
昼前にだいたい行くので、途中でおにぎりとかサンドイッチとか買っていってるのですが、次第に飽きてきて、家でおにぎりを作っていったり、コーヒーをポットに入れてもっていったりするようになりました。途中で外へ出て、コーヒーを飲むこともあります。しか〜〜し、さすがに飽きてきた。

きょうは有楽町の駅からの途中にあるプランタン銀座に立ち寄り地下でお惣菜を物色。ここは良く立ち寄るのだ。特にケーキ類はおいしいものがあります。ベーグルもその場でクリームチーズ数種類を選べます。お腹がすいていたので十穀米のカレーを食べたかったが、匂いのあるものはいけないと思ったので赤米のおにぎりのお弁当にした。さらに上の階にも行って洋服をみたり・・・。こんなことするのは2ヵ月ぶりくらいだなあ。Tシャツでずっと制作していたというのに外へ出てみたらもう冬服じゃーん。ちょっとショック。わたしは薄着なので、だからどうよ、って感じですが。
そのさらに上の階が好きでござんして、きょうはスイス製の馬の絵のファイルとチェコ製のおウチ型のファイルケースを買う。ファイルケースフェチなのだ。

ギャラリー到着は昼過ぎになってしまった。
きょうはこんなにたくさん個展やグループ展をやっているのに、いつもいつも来てくださる方ばかりが来てくれて、感謝してしまいます。

周期が早いです。わたしの展覧会は。でも、必ず新作を作っているし、必ずその展覧会の意図を明確にしているつもりなので、毎回新しい発見をして頂けてると思っています。


お客さんの中に、ひとり、いつもわたしの絵と一緒にカードを希望される方がいます。最初にお会いした時は二人展『そばにいる君』をやって時でした。この時は犬が死んでしまった時のことを詩にしたものを展覧会のタイトルにして、プロフィールの横にこの詩をパネルにして飾りました。そのあとイヅミちゃんの曲にこの詩がピッタリだと思って、サボテンのアルバム『つづく夢』に入れる際に、メロディに合うように作り直したのでした。
この時この方は亡くなったばかりの犬のことを思って涙ぐみ、小さな絵と共に、この詩の入れて欲しいと言ってくれました。わたしも犬の死は何度も経験しているし、どれだけ悲しいかはわかっているので、気持ちを込めてカードを作って差し上げました。それからまたある展覧会の時、『柳ホテル』の中の絵を気に入っていただき、その時もその絵につけていた物語の文章を一緒につけて欲しいと言われ、またカードにして差し上げました。この中にはわたしの弾き語りの曲『Weeping Willow』の詩をつけていたのでした。いつもこんな風な形で買っていかれるのが、わたしはとても嬉しいんです。そして、きょう、天使の羽の絵を買っていかれました。上品な小さな声で「父が亡くなったりして不幸が続いているんですけど、この天使の羽、何かいいことあるような気がして・・・ね、いいことあるわよね」とちょっと笑って言うんですよ。エレベーターの前で見送りながら「絶対コレはいいことある絵なんです。必ずいいことありますよっ!大丈夫!」と手を振りました。本当にこの方にいいことあるといいなぁ、と思いました。

個展には必ず毎日行きます。こんな素敵なことが必ずあるんですよ。絶対行かないわけにはいかないんです。こうゆう素敵なことを逃したくないんですよ。その方にピッタリくる絵があって良かったなあと思います。個展の時にはいろんな人がやってきます。ただ話しにくる人もいるんだけど、それもまた楽しいんです。

きょうはいつも来る方、仕事でお世話になってる方、古い友だちなど来てくれましたが、珍しく湯浅学氏が来てくれました。シャチョー(と呼んでいる本当のシャチョさんですが)と一緒でした。湯浅学は美術大学出てる。サボテンはわたし以外は美大出てた。で、わたしは美大じゃないのに絵描いてる。なんて話しをする、のはいいんだけど、また年齢のこと言うのよねー、わたしは湯浅さんは好きだし、サン・ラとかレジデンツとかノエル・アクショテとかたくさん書いているものも読んでるけどサ、そこんとこだけは嫌よねー。シャチョはシャチョらしくヴーヴ・クリコを持ってきてくれました。で、ずいぶんジックリと絵を見てくれて、感想をたっぷり。わたしはたっぷり感想を言われるのが好きなので、嬉しかったです。湯浅氏は感想を言わなかった。感想を言うまでしつこくDMを渡そうと思います。渡してやる。

海の生物や被りもののダークな絵などに意外と興味のある人がいて驚いてます。あしたはそのあたりをご紹介します。
あしたも昼ころ行きます。6時頃までいる予定です。

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2006年11月1日(水曜日)〜15日(水曜日)
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◆2006年11月7日(tue) コテンコテンコ、個展の日々


伊東屋の数カ所にこのPOPが出てます。
まだ、タップリ一週間あります。

 


何日か前に、伊東屋のギャラリー担当のH氏とプロフィールの前で話していたら、「音楽もやってるのなら、CDも持ってくればいいのに。立体も持ってくればいいのに。エーイ、なんでも持って来てしまえばいいのに」と言われたので、『銅版画展と書いているってのに、お言葉に甘えてトランクルームに行って、動く立体オブジェと「猫かぶり娘」など数点を持ってきてしまいました。そのため、大幅にギャラリーのレイアウトを変えました。だんだん盛り沢山になってきました。

きのうはメチャメチャ暇で、壁の裏での読書もスイスイだった。でも、同じところにジッとしているのは実は疲れます。もー嫌だ、ワインでも飲んで帰りたい・・・と思っていたら運よくワインの相手にピッタシのお客が、ワインにピッタシのフランスパンを持ってやってきたので、銀座の素敵な店でリーズナブルなわりにはおいしいワインを飲んで帰宅。銀座は最近、わたしくらいの中途半端な風情の者がそこそこ楽しめるお店が増えている、と見た。代官山とかよりも良いかも。
きのうは暇だから昼やってきてくれた『英国フード記』の石井さんとデザインを担当したタケちゃんと和食のランチまでゆったりとってしまった。ここも1000円以下でちゃんとしたモノが食せましたですよ。要するに、お高いものも今まで通りあるけれど、一般ピーポーにも入れる値段のメニューも置きだした、ということですね。


ダーク&クリスマスサイド。
きれいなモノ、怖いもの、バカなモノなど、わたしが集約されているのだった。


『英国フード記A to Z』のおふざけ組。デザイナーのタケちゃんと。表紙は苦労したんだよねー。もうあれから1年たっちゃう。

きょうはオブジェの設置をしようとガタガタやっていたら、ギャラリーハウス・マヤのレンさんがやってきて、「何それ、何、何」とわたしがモーターの配線などやっているのを見学していた。これは版画をするずっと以前にやっていたキネティック・アートのひとつです。といってもただ尖塔の上の鳥たちが回るだけなのですが、「ただただ、回るだけのもの」が好きなんですよねー。

三修社の方が本の補充がてら来てくれて、結構ちゃんと絵を見てくれたので嬉しかった。ほかにもきょうはたくさんお客さんが来ていたので、本は読めず。おかしいことが一つある。個人情報保護法のために芳名帳が置かれないようになっているのですが、伊東屋さんでは、それでは味気ないということで、名前を書くカードとそれを入れるかわいい箱を用意してくださってます。わたしはその箱の中がたまると自前のノートに順番に貼っていってるのです。で、きのう覗いてみたら、伊東屋でお買い物をするともらえる「メルシー券」(金額によって10円券、50円券、100円券がある)が数枚入っていたこと!ワーイ、お賽銭箱みたいだ〜、または投げ銭みたいだ〜。もう400円くらい入ってるんよねー、な〜んか嬉しい。終るころには9階でやってるカレンダー展でひとつくらい買えるかもしれない。
そうだ、『英国ワーキングウーマン』(表紙を描かせていただきました)の編集のTさんに『Tante Marie』のマカロンをいただいてしまった。これ、おいしかった・・・・。ありがと〜〜ございます!わたしが好きだって、覚えてくれていたんですね。本、売れますように。

立体の入っていた箱の中にサボテンのCDが2枚入っていた。6月のFALLの時のがそのままになっていた。きょう来てくれた音楽関係の方に見せたら、年齢が同じくらいのようで「なつかし〜〜」とパンク関連の名前をしげしげとチェックしていた。ほかにもこのいぬん堂から出ている「ノン・ポジション」のブックレットをしげしげと見る人がいておかしい。「あ、この写真の人松本さん???かわいい〜」と言ったすばらしい奴がいる。20代はブスクレテいて怖がられていたわたしだが、やはり若いというだけでかわいく見えるということなのね。じゃあ、今はなんだってのよ・・・。

あしたも、行くよ〜ん。でも帰りはちょっと早いかも。

★松本里美の個展のお知らせ★
2006年11月1日(水曜日)〜15日(水曜日)
銀座伊東屋8Fミニギャラリー松本里美銅版画個展『live! together-love! creatures』
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◆2006年11月5日(sun) グチャ村はセルビアにある


伊東屋。大きな赤いクリップが目印。

 


きょうは暇でした。
外もいつもの日曜の銀座としては人が少なかったような気がします。連休だから、みんなどこかに行ってるんでしょうねー。

エッチングの手法を聞いてきた人がいたので、暇だからこまかく解説してしまった。
銅版を腐食するのがエッチングだけど、どうも大抵の人は直接彫ってると思っているらしい。銅版画の場合は「彫る」とは言わないのだけどねえ・・・・やってる人でも時々「彫る」と言ってたりする。
数人の知合いと、数人の通りがかりのお客さんと、わたしの次にここで展示をする方とお話。あとは関口義人さんの本を半分くらい読んじゃいました。バルカンブラスの本ですが、タイトルなんだっけ、ジプシーブラスのなんたらです。ちょっと読んでそのまま巻末のディスクレビューや写真ばかり見ていたものでした。会場にわざわざわたしのために東京新聞の文化欄の切り抜きを持ってきてくれた方がいて、それが『オシムとクストリッツア』のことだったもんだから、それを本のしおりにしている。
二人とも旧ユーゴスラヴィア出身なのだ。でも、ここは地域をハッキリしとかないといけない世界で、二人ともサラエボ出身だがクストリッツアはセルビア系で、オシムはクロアチア系なのだ。でも、どちらにしても非常に哲学的で、アイロニーとユーモアに満ち、前向きなガッツが感じられる名監督だ。クストリッツアの英雄はオシムがユーゴのサッカーの監督をしていた時の選手たちだ。すべての作品に必ずサッカーシーンがあるのはそのためだし、早くマラドーナの映画を見たいものだと思っている。

きょう読んだところはセルビアのグチャ村で61年から行われているブラス・サミット(コンテスト&フェスティバル)の話し。この本は音楽以外の部分は著者の細かなフィールドワークによる東欧のロマの実情で、ほとんどが豊かな環境でヌクヌクしているわたしには悲惨な実体について語られてます。だから音楽の話しになるとちょっとホッとする。

この本を読むと、カースト制度のようにある程度彼等には生まれながら職業が決められている。その中に『熊使い』というのがある。
『熊使い』といえば、アービングの『ホテル・ニューハンプシャー』で、わたしはこれが大好きなんだけど、この本の中では熊使いはドイツからやってきた男だったと思う。今は後継者も熊も減っていて存続は難しくなっているらしい。どうゆうわけか熊使いには魅力を感じる。昔ドイツの動物サーカス団を見にいったことがある。小屋の雰囲気といい、楽隊のブラスの感じといい、衣装といい、なんともわたし好みだった。サーカスの起源も知りたくなってきてしまう。きっと熊使いのロマと関係しているに違いない。
それとは別にインドのヘビ使いについても少し書いてあって、これもカースト制度で決まって居る職業だということを初めて知った。ただの大道芸、と思っていたすべてのことはインドでは生まれた時から決まっている職業だったのね。サボテンの「ヘビ使いのうた」という曲は難しい。なんたって笛で吹くヒョロヒョロしたメロディをギターでやるんだからあまりにも厳しいのだった。ギターってラッパ系にくらべると不便な感じがする。あ、これはわたしの技術の問題かしらね。いや、この不便さがよかったりして。
それにしても、ロマブラスの人たちは『音楽家』として生まれたわけで、これは案外、というかとてもいいなあと思うのだけど、『物乞い』というのもあるのだ。・・・・・絶句です。生まれながらにして『物乞い』という職業だなんて、一体どうゆうことなのかどうしても理解できない。クストリッツアの映画『ジプシーのとき』を思い出してしまう。やりきれないものがある。

グチャのコンテストは楽しそうだ。写真も数十人の管楽器が勢ぞろいのものがあって圧巻なのだった。去年は東京でわたしもファンファーレ・チョカリーアを見てワクワクした。大音量で聞くブラスはホンットいいです。あれで10人程度だから、30人くらいになると・・これは昇天に近い。それに比べて、やはり去年東京で見たタラフ・ドゥ・ハイドゥークスはアコーディオンやヴァイオリンが入っているスタイル(これをタラフというらしいことが本で解明)なのでちょいとセンチメンタルだった。
このコンテストで優勝したボバン・マルコビッチと(トランペットです。コンテストの花はこのトランペットなんだけど、東欧ブラスでは、写真を見るとトランペットよりもフリューゲルホーンが多いように思う)、オーケスター部門の優勝者が(本を置いてきたのでわからん)クストリッツアの『アンダーグラウンド』の演奏者になっている、と書かれていた。そうだっけ?

こんなのを読んでいたら、行きたくなってしまった。セルビアのこのコンテストに行きたーい。関口さんのこの前の本にも出ていたもので、リングリングサーカス、じゃなくてただのリングリングというフェスティバルもある。これはいろんな国の人が出てるようで、日本人も出てたと思う。わたしはセルビアのグチャ村のにやっぱり行きたいなあ。金曜日の前夜祭から本選の日曜日まで三日間ブラス漬け。わたしの描いた少人数バンドの金管楽器をしばし点検。トランペットはフリューゲルホーンにするべきだったかなあ・・・、でもわたしの絵のはロマじゃないからドイツ製のトランペットということにしよう。

先日のICPオーケストラではトロンボーンが新鮮でした。あんなにいろんな音が出るとは思ってなかったかも。谷啓しか知らないし、あ、嘘。家でその時買ったICPの去年のものを聞いた。ほとんど普通のモダンジャズでしたが、チェロのホンシンガーの曲はちょっと良かった。でも松本清志さんのとちょっと間違ってしまいそうじゃないの???チェロの演奏、と思って聞いていたらキャンプからみんなが帰ってきた。「このチェロ似てると思ったけど、チェロって、手の内そんなにそんなになさそうだから似ちゃうのかもね」と言ったら、御意、とのことだった。
23日は江古田のフライングティーポットでグンジョーガクレヨンやイヅミちゃんらと松本氏の演奏があります。久しぶりの演奏なので、よろしく〜。サボテンも同じ場所で12月22日やりますです。

では、またあした、伊東屋ギャラリーで。今度は「オシムの言葉」でも読もうかしら。

★松本里美の個展のお知らせ★
2006年11月1日(水曜日)〜15日(水曜日)
銀座伊東屋8Fミニギャラリー松本里美銅版画個展『live! together-love! creatures』
http://www.satomin.jp/info/exhib/itoya06.html

◆2006年11月4日(sat) さらば、コロ助

個展の最中ですが、知ってる人はよく知っている、知らない人はまったく知らないコロ助へ、ご家族の承諾を得て一文を書かせていただきます。

きょうもわたしは個展会場に行きました。何人かの昔からわたしを良く知っている人たちが、わたしの今回の絵を見て、「いろいろ様々表現は違ったりだけど、根元にあるものは通じるものがあるから、統一して見えてるよ」と言ってくれました。食べ物のパロディ満載の絵あり、哲学科出身ならでは(なのよ)のコムズカシイものもあります。くだらない駄洒落の作品もあるし、ドグラマグラなドロドロしたものもあります。かわいい動物もいるし、アンニュイな女やかわいい物語りの作品もあります。それらすべてはわたしの中のたくさんの小さな引き出しから生まれているだけのことで、すべてがわたし以外の何者でもないのだ、と思っています。誰にでもいえることですけどね。そして、きょうジックリと笑いながら作品を見てくださった耳の不自由なお客さんに一言言われた言葉で、ちょっとわたしはコロ助のことを思い出し胸が熱くなりました。それは「ぼくは絵を見る時に一番大事だと思っているのは『品がある』ということなんですよ。ぼくは耳が聞こえない分、目はとても良いのです。あなたのはとてもおかしいけれど、それを感じてとても好きです」という言葉でした。以前もこうゆう感想は言われたことがあって、とても嬉しくおもっていました。どんなにおかしなものでも、どんなにうつくしくっても、そこに『品格』が備わっていないものは、わたしも好きにはなれない。絵や音楽や文章には歴然と品格の有無がある。
コロ助について知っている2・3の事柄・・・
コロ助は、単刀直入に言うと、登録サイトmixiのコメント友だちでした。本当にそれだけだったのでした。しかもたったの1年間。知ってることは2・3ではなくて、たったの一つに過ぎません。それでも、わたしはこの方のコメントに漂う品格だけで、この方が好きでした。

去年の6月から始まったわたしとコロ助のただならぬ量と質のコメントの応酬がプッツリ途絶えたのは今年の7月の末のことでした。そして、ご家族からの連絡でコロ助がその数日後に亡くなったことを知ったのは先月半ばのことでした。この気持ちはなんだろう、と不思議な気持ちでした。ちょうどその前の日に、友人が日記で青空文庫について書いていました。ネットでいろんな物を読むことができる便利さ、でも、本を手にして読む事に慣れている世代としてのこの行為に持つ浮遊感は一体なんだろう、という文章でした。わたしはコロ助が亡くなったあと、そのたくさんのわたしとのサイトのみの会話に、やはり、行きどころのない浮遊感を感じました。一体あなたは本当にいないのでしょうか?もしかしたらココだけにはずっと残っているのではないのかしら?だけど、何かのネット上の事故でそれはアッという間に消えてしまうかもしれませんね。そしたらもぅあなたとは会えないのでしょうか?でも、元々会ってはいないのだから、それもおかしな話しだわね・・・・本当に気持ちの持っていきようがない、ととてもショックでした。

わたしとコロ助の会話は今となってはご本人からは聞けませんが、多分当人同士とても楽しくて、コロ助はわたしの日記を楽しみにしていたと思うし、わたしもコロ助が何をコメントしてくるのか、実は心の奥でとても楽しみにしていたと思います。
最初にコロ助が現れたのはわたしが『ラトルズ』について書いた時でした。ラトルズが好きな人はたくさんいるし、コメントなんて知ってても書かない人の方が多いですよね。でも、コロ助は書くんですよ。それも、しったかブリをしてただ書くのではなくて、端的にかつおもしろく、そして一番素敵だったのは馴れ馴れしくなく、でも、軽やかに親しみを込めて、そして迎合もせず妥協もせず、それを短い文面でキチンと表現することができる巧みさを持っていたと思うのです。わたしが間違っている時でも、全然わかってない時でも、気持ち良く、楽しく、そして、知りたがりのわたしのために(多分それもわかってて)知ってることは突っ込んで話してくれました。ツーと言えばカーと言う人は人生で何人遭遇できるかわからない。幸いにしてわたしにはそうゆう人が何人かいて、幸せだなあ、と思っていますが、コロ助はそのスピード感において特殊でした。
実は一度だけわたしはお会いしています。それは1月におこなった「英国フード記A to Z」の出版記念イベントの時でした。元々は奥様と知合っていたのです、実は。奥様はわたしの個展に来てくださっていて絵を気に入っていただいたり、楽しくお話をさせていただいていました。そしてそのイベントの時に初めてお会いしたのです。でも本当にちょっとだけしか話してないのです。そのイベントではわたしはスライドを映しながら何曲か弾き語りをしたのですが、その中の1曲はラトルズの(ビートルズの究極のパロディバンドです)さらにパロディをやったのです。ほとんどの人はわたしが何をやってるのか、元歌も知らなかったろうと思うし、内容もバカみたいに捻っていたことに気づく人なんていなかったと思います。が、あとでコロ助がとてもわかってくれていたのを知った時には、「オオ、あなたは心の友よ!」と静かに思ったものでした。コロ助は食べ物、本、怪獣やらなんやら、そして人はどうあらねばならないか、についての美意識が、わたしにとってとても納得の行くものでした。映画の趣味はちょっと違った感じもあったけれど、突っ込んだ書き様はとても潔くて好きでした。堂々としていた。そこには最初に書いた、一番大事なもの、『品格』があった。

mixiはわたしの場合はいつも書いている日記を単にUpしているに過ぎません。ただ、だいたい見てる人が決まっているせいかコメントが書き易いようで、HPの掲示板よりもこちらの方が活発になっていると思います。されてない方にはわかりにくいとは思いますが、日記をUpすると、ある範囲の人たちにはUpされたことがわかる仕組みになっています。わたしの場合は特にmixiを見なくてもいつものこのサイトを見ればすむことなのですが、とても楽チンでもあるためにmixiから見てる人もいます。そして、特徴としては見にくると足あとというのが残り、誰が見にきたかわかるシステムになっています。
コロ助はパッとコメントを書きました。非常に素早くて、しかもおもしろかったんです。あんまりおもしろかったので、わたしもパッとお返事しておりました。ひどい時は延々飽きるほど書いてまして、それが一体いつどっちが終らせるのか、それももうどうでもいいや、と思えるようなものになったりもしていましたが、実はとても内容は濃かったと思っています。それは参加しなくても見ていた方がたくさん居たというのをわたしは足あとによって知っていたので、自他共に認めるところだったのだと思っています。

偶然にも、先日、よく読んでくれている友人が「そういえば、byコロ助という人、最近きませんね、あまりにもマニアックでわけわかんない時が多いけど、おもしろくて楽しみに読んでるんですけどねー」と言うのです。わたしはちょっとグッとなってしまいました。ネットに書かれているこんなコメントの応酬を、楽しみに見ている人がいる、という現実が驚きでした。「実は、数カ月は知らなかったのだけど、亡くなってしまったのよ」と教えて差し上げたら、その友人も詰まってしまった。この人にとってもコロ助はもぅまったく知らない人ではなくなっていた、という現実。ネットのコメント欄にしか生きていないのに、あきらかにそこに存在していたという事実。この浮遊感は一体なんだろうか、このショックは一体どこに持っていったら良いのだろうか。もしも奥様からの連絡がなければ、プライベートなことについてできるだけコチラからは聞かないわたしは、ネットのオフ会というのが虫酸が走るくらい嫌いというわたしは、自分からどうしたのか聞くこともなく、突然消えてしまった、というだけでそのままになっていたかもしれません。でも、こうゆうことはこれからはきっとたくさん起こり得ることなのだ、と強く感じています。ネットに限らずどんな通信手段でも、それは起こり得るけど特にネットでは。人とつきあう時には、自分がどういったスタンスで付き合っていくのか、キチンと考えていなければならないのはどんな場面でも同じことだ。連絡がなくてもそれでも良いのか、それとも、やっぱり連絡が欲しいと思ってる人なのか、自分にとってどんな風にその人は大事な人なのか、顔が見たいのか、見なくても心に留めておくだけで良いのか、それとなく覚えている人であればよいのか、サラッと流してはいけないことなのだ、そうゆうことは。そして、それはただ心に思っているだけではいけないのではないのか、と思っている。

わたしとコロ助の会話は多岐にわたっていて、わたしの小さな引き出しの一つ一つに対してポツリポツリと投げかけるエッセンスはそれはもぅ秀逸でした。奥様もどうも喜んで我々の会話を読んでいた形跡があり、先日落ち着いてから読み直してみたら、やっぱり半端な小説よりおもしろかった。不思議なもので、わたしは日々本当に日課のように日記を書いてますが、やはりどこかであの人読んでるかなあ?あの人だったらどんな風に思うかなあ?と考えないではないのです。ネットの場合当たり前だと思いますが。
コロ助がいなくなって、わたしはやっぱり寂しい。あの人だったらきっとツッコンでくれただろうなあ、とか、もっとくわしくおバカなわたしに教えてくれただろうなあ、と思うわけです。今はたまにひとりツッコミで、コロ助役を心の中でやってたりします。でも、やっぱり代わりはできません。
コロ助については本に携わっていた人としか書きませんが、兎に角膨大な量の本やDVDやフィギュアなどが残っているハズなんです。昔、アンクルJこと植草甚一が亡くなったあとに、奥様がどこかで「あの本、一体どうしたらよいのか、困ってしまいます」と語られていたのを思い出します。本人とっては大事なコレクションでも、別の人にとってはただの紙クズになってしまいます。コロ助の持ち物はどうなるのかわかりませんが、多分奥様が大事にされていくような気がします。奥様には「中学時代からの知合いみたいでしたね」と言われましたが、コロ助はわたしよりもずっと若い方でした。そして、付き合いは1年。会ったのも1度きりです。それでもわたしにとっては大事な大事な人でしたよ。

わたしはコロ助の死を、コロ助をわたしを通じて知った数名の方に個人的にお知らせしようと最初は思っていました。でも、もっとたくさんの人がわたしたちの会話を読んでいたのを知っている(mixiの恐ろしいというかおもしろいところですが)ので、あえて奥様に承諾を得てこのような一文を寄せさせていただきました。今でもわたしのところに残っているおかしくも充実したコメントの数々は、何かの事故で消えてしまうまで、実体の無いようでやっぱりあるという浮遊した存在としてあり続けるのでしょう。このような浮遊した存在がこれからきっと増え続けるハズの未来、『あなたはわたしにとってとても大切な人でした』、とこうやって文字にすることでわたしは少し前へ進める。
書くということは、前へ進める一つの手段だと思っています。もちろん殴り書きでは意味はない。コロ助が書いたことに対し、わたしは書いた。わたしが書いたことに対してコロ助は書いた。そのことでお互いに心の中がクリアになっていくのを感じていた、とわたしは信じている。

さらば!コロ助
わたしのところで今も楽しんでくれてるって、信じてるナリよ。


◆2006年11月3日(fri) スルメ・蛸・猫・エビ・モモンガ等々


フィギュア。手前のがわたしのウミウシで、千葉中央博物館でこの夏買ったもの。奥のは切り絵作家の大久保さんの持っていたもので、新江ノ島水族館で買ったもの。わたしのはピンになっているので、ジャケットにつけてます。『ウミウシスターズ』
★きょうの一枚


『俺達スルメンズ』5センチ角くらいの小さな作品です。

 


家族はみんなキャンプに行ってしまい、きょうからわたしは独身です。

きょうは昼前に伊東屋に到着。なにやら人が多い。どうやらグッチの店が開店したらしい。それと、9階のカレンダー展にも人が流れている模様。わたしのところにも来てね〜。

きょうは途中までは全然人がこないので、途中でとまっていた関口義人のジプシーミュージック本を読みながら過ごす。時々自分の絵を見て感心する。何をって、よくできたなあ〜と感心してるんですよ。一度コーヒーとパンを隣のサンマルクに食べに出ました。帰ってみるとエレベーターは行列で、階段で登る。きょうはまだはき慣れてないブーツだったので、死にそうになった。
その後はいい間隔で人が入ってくれました。友人知人、サボテンいづみちゃんシスターズ。いづみちゃんがわたしの隙間作品(実はリキが入っている)や『潜水夫』に興味をしめしてくれて嬉しかった。わたしの一番愛している隙間作品『俺達スルメンズ』の1号はめでたくいづみちゃんちに行くことになりました。今度遊びに行った時に、また会える。
今回は大きなファイル2册と小さなファイルを1册置いています。原画を入れてます。整理しなければいけなかったので、前日にどんどん入れこんでいって持参しました。きょうはこの中から数点の作品が買われて行きました。1点は『蛸」でした。ギャラリーページでも見られますが、これはサティの曲にわたしが勝手に描いた絵です。海の中にいるのに、もうすでに真っ赤な茹で蛸になっとります。蛸がお好きな方はきっとグネグネしたもの全般にお好きなのだろうと思って、きのう書いた切り絵作家さん大久保敦子さんの個展を教えてさしあげました。
きょう最後のお客さまはその大久保さんとお友達でした。わたしもウミウシのピンをジャケットにつけていたのですが、大久保さんも水族館で買ったというきれいなウミウシをわざわざ持ってきてくれまして、うわー、凄い、で、チョコエッグのマッコウクジラ&ダイオウイカもお互い持ってることがわかって、さらに、ウワ〜、あれってレアアイテムだったのにねー、ととんでもなくオタクな話しをしてしまいました。クラゲもウニもイソギンチャクもとてもくわしくて、ジックリ見てくださいました。お互いのお客さんをお互いの個展に紹介したりして、実に妙な感じですが、こんな巡り会いができて嬉しい。ギャラリー龍之屋のオーナーの方もいらして、潮だまりの小宇宙について話した。

ファイルの中には初めて制作した版画も入っています。整理しながら見てたのですが、版画は初めて作ったものだからといっても全然クオリティに遜色はありません。良くない作品は、邪心がある絵で、やはり無理矢理作ったようなものは良くない。だから、どんどんそうゆうのははずしてしまってます。いい感じに見せよう、と思って作ったものは駄目ですねえ。やっぱり、今これが描きたいんだもん!と思ってひたすら描いたものは素敵に仕上がってると思います。ファイルの中のものはそのままお持ち帰りいただいています。伊東屋さんでそのまま額装を頼むことができるので、便利で良いです。
最後の二日間で描いた作品は『一緒に行くかい?』というバンドの絵です。これは本当に清清しい気持ちで制作できたもので、来てくださった方にもそれが伝わるのかコメントが多い。
「柳ホテルシリーズ」の1枚として描いたこの絵は『そろそろ行こうか』というバンドの絵とかぶさってます。人間も犬も鳥も一緒に歩いていきます。

オシム&クストリッツア記事を持ってきてくれた方アリ!東京新聞の切り抜き。ワオ。LOVE!
『一緒に行くかい?』のバンドは道を歩いてます。ダブルベースの人は歩きながら演奏できるのか?と質問があったのですが、これができるんですねー。タラフ・ド・ハイドゥークスの映像で行進しながらちゃんと弾いているのを見ましたよん。『耳に残るは君の歌声』で見られます。きょうはチューバを鼓笛隊で吹いている男の子がきました。チューバの左右が違うのでは、という疑問がでましたが、違うのがあるんです。だからこれも間違ってないんです。トロンボーンはちょっと怪しい。最後に描いたこの絵はほとんど何も見ないで描いたので楽器についてはあまりキチンとしてないかもしれませんが、だいたいなんとかパスしてると思います。先日見たICPオーケストラでは、トロンボーンがとてもおもしろかったと思うのですが、よ〜く見ていたら、わたしの絵とちょっと違うのよねー。でも、それはそれ、ってことで!ジャン

あしたも昼前には行きます。

★松本里美の個展のお知らせ★
2006年11月1日(水曜日)〜15日(水曜日)
銀座伊東屋8Fミニギャラリー松本里美銅版画個展『live! together-love! creatures』
http://www.satomin.jp/info/exhib/itoya06.html

◆2006年11月2日(thu) イカもの

ちょっと、ちょっとちょっと疲れました。
そこで、今朝はゆっくり美容院に行くことにしました。きのうの夜は久しぶりにワインを飲みましたが、さすがにあまり飲めませんでした。デキャンタに残っていたワインを隣のテーブルにいたちょいダサイタリア野郎軍団に1杯ごちそうしました。でも、いらないっぽかった。わたしがクラウディア・カルディナーレみたいだったら良かったんでしょうか・・・・。

美容院でまた居眠りしてもうた。
銀座に着いた時にはもう12時を過ぎていて、なんでも午前中にすませてしまうママ友だちが去ったあとでした。残念。いつも来てくれるのに早すぎていつも会えません。
きょうはあまり人が歩いてない感じで、9Fでやっているカレンダー展に行く人もきのうより少ないみたいだった。ひじょ〜に退屈な時が過ぎまして、山田犬男がブラッと尋ねてきて良かった。犬男の作品も伊東屋さんにはあります。先月同じギャラリーで個展をしていたのでした。犬男のあとはちょっと散歩にでかけ、向かいにある明治屋で食品探訪。並びのダロワイヨのマカロンのディスプレイを見てまた引き返す。外の空気を吸わないと寝てしまう。
きょうも本が1册売れて、サインをして差し上げた。きのうはちょうどド派手で押しの強いアナ・マリアが来ていた時に本にサインすることになり、彼女がかばんからサッとフェルトペンを出した。「サトミ〜、サインはこれが一番よ!わたしはいつでもサインできるように持ってるのね〜〜、コレ使うのよ〜」。いやー、彼女の鞄は営業道具一式なんでも入っているようだぞ、重いぞ。逞しいぞ。押しは強いが、いい人です。

きょうは用事があったので5時過ぎにはギャラリーを退出しました。
実はきのう来てくれたコピーライターのkさんに、近くでやっている個展の話しを聞き、是非行きたいと思っていたので少し早めの退出でした。Kさんのセンスをわたしは信用している。鎌倉巡りを一緒にした時にも、要所要所押さえ所が憎いのですねえ。楚々としていながらも大胆で、文章も美しい。わたしの版画も何枚か買って頂き、このセンスの良い方の家に飾られているのかと思うとわたし自身も自信がつく。彼女はわたしの絵を眺めながら「アラ、クラゲがあるわね。アラ、ウミウシもいるのね。同じような題材を使っている人のを見てきたのよ」というのだ。すぐそばシャネルの裏にある『Gallery龍之屋』でやっている大久保敦子切り絵展。ハガキのは美しく繊細な花の切り絵で、束芋のようなアールヌーヴォのようなクッキリとしながらもうねるような線は柔らかく、魅力的なのでした。覗きに行くと、なんと、わたしと同じようにクラゲの切り絵が一番大きく、その横にウミウシ。ほかにも立っている馬だとか、妖怪のようなもの、ウサギ、海辺の生物等々、もぅ笑うしかないほどわたしの興味と重なるのだ。途中で話し掛けずにはいられなくなってしまい、思わず「見てください、わたしのウミウシのブローチを」と千葉中央博物館で夏に買ったウミウシを見せる。大久保さんとオーナーの方と三人、だれもついてこれないようなコアな海辺の生物話が繰り広げられてしまいました。わたしの今回のDMを見せたらさらに盛り上がり、また、たまたま持っていた前回のDMのロータスとウサギもお見せしたら、「ウサギが悪いやつそうでよい」と言ってくださり、そうなのよ、ウサギはかわいくはないのよ、とまたまた楽しい話。大久保さんの絵の立つ馬はナント!ロータスを持っているのだ。・・・・・なんだか見てるものが似ている。是非わたしの個展にも来てください、と約束して、退出。犬と猿のハガキを購入。オーナーの方が「二人で『変な生物コラボ』ってどう?」とおっしゃったら大久保さん「でも、わたしは5年に1回の個展のペースだから・・・」って・・・・そりゃあもう細かい仕事で、大きいのは3ヵ月もかかってるようなので、それは確かに5年必要なのだろう、と思いました。隅々まで繊細で、ちょっとおかしな、そんなすばらしい作品でした。5日までなのですが、もう一度顔を出すことにしました。
わたしのタコ男やスルメや潜水夫もきっと喜んでいただけると、確信!

そういえば、きょうなんとなく絵を見ていたお客さんが「スルメンズ」を見て「イカはいいわねえ」と言い、そのあと「あ、クラゲだ」「あ、ウメボシイソギンチャクだ」とエラくツボを押さえた独り言をおっしゃってまして、やはり、こうゆうものの好きモノってえのが世の中にはいるわけなんですねえ。わたしが不思議ちゃんじゃないこと、わかってもらえるかなあ・・・。

あしたから三連休ですね。
またしてもわたし以外の家族はどこぞの空気の良いところに行ってしまうらしく、独り者の連休となってしまいました。チイちゃんもいないしねえ、もうギャラリーにずっといるしかないんですよねー。というわけで連休はずっといますので、見にきてくださいね!

★松本里美の個展のお知らせ★
2006年11月1日(水曜日)〜15日(水曜日)
銀座伊東屋8Fミニギャラリー松本里美銅版画個展『live! together-love! creatures』
http://www.satomin.jp/info/exhib/itoya06.html

◆2006年11月1日(wed) 個展初日居眠り20分ハグ4回


『Tide pool hat』の横で

ナネットさま、ヒノスさまお花をありがとー。『Kiss Kiss Boot』の前で

展覧会のご案内。
http://www.satomin.jp/info/exhib/itoya06.html
こちらで場所なんぞ、出し物(?)なんぞ、見てね。そして、来てね。

銀座伊東屋さんでの個展が始まりました。
前日4時までファイルの整理などしていたので、寝不足。
朝プロフィールのプリントアウトがやっとできて、バタバタでかける。なんとかセッティングが終ったところでちょっと郵便局へ。
伊東屋は、ステイショナリーの老舗ですねー。ここへ来ると全館隅々見てしまいます。画材やノートや手帳やファイルやデザインの良いものの宝庫なので、ついついいろんな物を買いまくってしまいます。一通り観察してからギャラリーへ戻り、壁の裏で仮眠。
銀座で働いている知合いが数人抜け出して見にきてくれる。場所、いいです。やっぱり銀座は。誰でも行きやすい感じがする。それから今回は『英国フード記A to Z』の原画を全部持って来て一画にババッと展示しているので、英国好きのお客さんが足をとめてくれたりして嬉しい。ロマンスグレーの紳士が銀座には多い。しばし英国話しで盛り上がったりする。本も2册売れて、サインをする。特に会場には何も書いてませんが、本を買ってくださった方には挿画のプレゼントをしています。(わたしが居れば、の話だけどね)数には限りがありますので、なくなったらゴメンナサイ。
終るころに、銀座K'sギャラリーの増田さんが来てくれる。まずは、HUG!というのも、彼女の日記でHUGのことが書かれていた日があって、わたしたちは会ったらHUGする約束になっていたから。握手は良くするのだけど、HUGはなかなかしないもんです。外国人とは良くするけど、日本人とは滅多にない。HUGなんて絶対嫌だ、という人は多いよね、日本人は。わたしは全然平気です。今思い出したんだけど、『戦場のメリークリスマス』のHUGシーンは強烈だったなぁ。坂本龍一がビックリして硬直するシーン。
夕方からぼちぼち人が現れて、説明なんぞする。終る頃には工房の友人たちがドドっと来てくれて嬉しい。
長くて疲れ果てた初日は終り、友人たちと食事に行く。ワインを飲んでボ〜っとなるが、日々の制作でつきあっている人たちとは一番リラックスできるからで、いい気分となる。最後に帰り道が一緒の朝子ちゃんとオー・バカナルでエスプレッソを飲んで帰宅。。オー・バカナルは好きだ。原宿から消えてしまって悲しかったけど、こうやってまた通えて嬉しい。



物凄く強烈なトリオ。独・日・加。
左はアナ・マリア。右はエミリー。二人ともアートセラピスト&ダンサー。わたし?わたしもダンサー(?)(撮影:もりえZさん、サンキュ)

工房の面々です。
わたしはこの中では一番年上なんだけど、いつも一番お世話になってます。
下、左側の帽子の江川渡子さんは元工房の方。ちょうど今銀座でグループ展中です。写真から版画を刷っていて、それを大人っぽい素敵なアクセサリーにもしています。4日まで『ペッパーズ書店』で。東武ホテルそばです。伊東屋さんの版画コーナーで、わたしと同じように絵が販売されています。ギャラリーの隣で見られますので、お越しの際はそちらも見てみてくださいねー。
★松本里美の個展のお知らせ★
2006年11月1日(水曜日)〜15日(水曜日)
銀座伊東屋8Fミニギャラリー松本里美銅版画個展『live! together-love! creatures』
http://www.satomin.jp/info/exhib/itoya06.html


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