●七日目●

七日目はまったくの余暇。
著者の石井さんに、どこか行きたいところあったら言ってください、と事前に言われていたので、それならば是非ともウェールズへ!とお願いしました。ここはわたしが好きな詩人ディラン・トマスのふるさとです。

(日記に載せていたものなので、一部書いた日のことが書かれています。また、新たに加筆しています。)


■EAT & MEET in LONDON ■

Vol.12:ディラン・トマス
13/July-wed


DYLAN & watashi

きょうは本当に暑かった。
風もなくって、気味が悪い空気が漂ってました。不吉な予感がしたなら家でじっとしているのが最良。しかし、クーラーをつけていてもなんだかグッタリしてしまい、さらにアコースティックギターを少し練習していたら、指が痛くなったのでいい加減嫌になってしまった。もっと柔らかい弦はないのか?
ワインをあける。ほとんど1本グダグダ飲んでしまい、ディラン・トマスのように酩酊してしまった。(05/8/5記)

何が幸せか、と言って、それは素敵な音楽があり、素敵な映画があり、そして胸を締め付けるような本を知っていることだと思う。知っているということはとても大事なことなのだと思います。知らない事はなんの自慢にもならない。知らない事を自慢してはいけない。
どんな居場所にいたら幸せかって、それは素敵な音楽が聞こえて、素敵な絵や風景に囲まれて、そして過去を抉られるような少しドキドキする本がたくさん並んでいるところで、高価ではないが手触りの良いカップに入れた程よく味わいのある紅茶か珈琲のあるテーブルの、木の温もりのある『低い椅子』に座っている時だとわたしは思う。座っている時であって、立っている時ではない。

7月13日、仕事とは関係なくわたしの一存で行くことにしたスウォンジー。ここはウェールズの詩人ディラン・トマスの故郷です。スペシャルな詩人です。アナーキーでヒップで感傷的でロマンチックなわたしの好きな詩人です。彼の一番の魅力は何かというと、それは『死』の香りがすることです。明るさと死は表裏一体で、それはくだらなさと大真面目との関係と似ている。

スウォンジーへ行く前にスーパーマーケットに寄りました。リー&ペリンのソース。 甘ったるい砂糖のコーティングのケーキ。 ホースラディッシュ、ミントソースなど。イギリス的。
ターミナル、パディントン。パディントンといえばパディントンベアね。 スウォンジー駅。 スウォンジー駅は小さな駅でした。
イングランドの言葉とは違うんです。ウェールズ語でも書かれています。二か国語です。トマスはラジオドラマをたくさん書いていますが、ほとんどウェールズ語で書いたのです。歴史的に禁止されていたことばの復活を積極的にメディアを利用した人でした。
新しい人だったのだと思います。
マーケットに行きました。ここでもWillow Patternのものを見つけました。 キッパーです。ニシンの薫製です。
こちらは岩ノリのようなもの。 ウェルシュケーキ。焼きたてを食べました。 ディラン・トマスシアターです。
ディラン・トマスセンターです。 何故トマスはスペシャルか。勿論二カ国語表記。

1階にあるカフェ。古本の図書館になっているのです。これらは普通に借りることもでき、買うこともできるのです。1册買った人にはこの売店で売られているケーキ1ついただけるのです。なんて素敵な場所でしょう。

おばさまひとりできりもりしているカフェ兼スーベニアショップです。有線放送がかかっていてしばらくここでお茶しながら休みました。

憩いの場。

ここで買ったCDです。「UNDER MILK WOOD(ミルクの森)」のCDなのです。ジョージ・マーティン制作で、メリー.ホプキンなどが歌を歌っている朗読ものです。

もぅ1册買いました。『A CHILD'S CHRISTMAS OF WALES』です。右のかわいらしい本を買いました。左の赤い本は以前から持っている本です。どちらもきれいな絵がたくさん入っています。クリスマスの情景が何故が懐かしく感じられます。異国のものなのに。 ディラン・トマスセンターへ行く道すがら見つけたモミの木。大木です。クリスマスに想いを馳せました。わたしが子どものころ、それは札幌での思い出ですが、父が本物のモミの木を担いで帰宅してきましたヨ。みんなで飾り付けをしてビング・クロスビーの「ホワイト・クリスマス」を聴きました。アイスクリームのデコレーションケーキを食べるんですヨ。コーヒーをネルドリップで父が入れて、子どももこの日はどうゆうわけかコーヒーを飲んでいました。 『UNDER MILK WOOD』の初演のポスターのようです。わたしのソロ曲「WONDER IN WINTER』はこの詩の一部にちょっと影響されました。

エミール・クストリッツアが好きな理由が突然頭をよぎりました。そこにはやはり絶望感を超越した希望がある。
ディラン・トマスへの旅を終え、やはりこの人はロックな人だなぁと実感。絵でも音楽でも映画でも小説でも、アナーキーな部分がなければどうも好きになれないわたしは、トマス、クストリッツア、セリーヌという系譜に改めてLOVEなのでした。

これを書いた夏の日もワインを飲んでいたようですが、春のぼんやりした夜、きょうもわたしはワインを飲んでいます。ほどよく酩酊。こう見えてもわたくしお酒はそんなに強くないです。ワインとビールくらいですね。(06/4/12記)




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