★★09/2/13第七回更新しました。★★
●松本里美の Hey ! Emir Kusturica●
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馬具作りから堂々とした歴史が始まったエルメスが特別協賛。エルメスの皮は美しいです。でも、馬はもっと美しい。 馬たちは揃って毛を同じようなデザインに刈り込んでいて、背中は長い鞍のように五分刈りになっており、その下は短く刈り込んでました。その鞍のように見える毛並みがツヤツヤしているのですが、運動量が多くなってくるといよいよエルメスのなめし革のように輝いてくるのでした。 馬たちはどうやって演技を覚えるのやら・・・・これは本当に演出通りなのか?と思ったのは、ほとんどの馬が退場したあとに、水場に残った3頭が、1頭づつ、間隔をおいて、しかも演技してるかのように、砂の上に寝そべったり、水浴びをしたりしながらゆっくりと退場していくのです。普通のサーカスだったら、必ず人がムチを持って指示するのに、そうゆうのがないんですよね〜。バルタバス、凄い! ジンガロというのは、パンフレットによると団長のバルタバスの愛馬の名前だったのですね。99年に亡くなったそうで、一緒にダンスをした伝説のシーンがあるそうです。見たいなあ。 クマも出てくるんです。ちょっと見ほんもののクマで、エルメスが作ってんのかしらん?と思うほどよくできてます。これに入った人は相当の人ですよねえ、クマのきぐるみのまま馬に乗って曲芸しちゃうんですからね〜。 馬って本当にきれい。 |
●松本里美の Hey ! Emir Kusturica●
2008/6/26木曜日、19:00からのJCBホール。 |
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メンバーは、ボーカル、ギター、アコーディオン、ベース&チューバ、バイオリン、ドラム、サックス、ギターはもう1本クストリッツア監督が左側で、いかにもリードギタリスト風。みなさんに大事にされていいとこチョロチョロと弾いたりしてはいたものの、あとで感想が書かれたブログなどをいくつか見ていたら、何度もメンバー数人にディストーションペダルをOFFにされていたとか。わたしたち(4人で行きました〜)の席は右側(といってもほとんど真ん中寄り)の前から5列目で、相当良い場所でしたが、そこまでは見えなかったですねー。クストリッツアさんに何度も近寄っていたのは、音楽的リーダーのヴァイオリンのダヤンさんとギターの方の二人。さもありなん・・・なお二人です。 以下は、27日、ライブ翌日書いたもの。日記から転載しました。(多少改変) 見にいったのはバルカンもんでいつも一緒に行く面々4名。JCBホールはステージが近くていいです。我々はアリーナの前から5列目、右側。ビール片手に観戦。 途中何度も観客の中のきれいどころをステージにあげていた。みんな女好きだった。ステージは大道芸みたいのもあって、ロックバンドと言ってはみてもやはりジプシーバンドという感じで、ステージというよりは道路でやってる雰囲気さえする。それにしても、演奏がうまくてビックリした。クストリッツアさんもちゃんとリードギターを弾いていて、『SUPER8』の時よりもずっとうまくなっていたし(何故か間違えないか?とドキドキしながら見た)。彼らは結構な年齢なんで、途中ピンクフロイドやディープパープルやジミヘンをやったり、ギターといえばすぐに「エリック・クラプトン」を引き合いにだしてしまうというのは、仕方がないんですねー。まったくベタですねえ。たとえがデビッド・ベッカムだったりカレーラスだったりパバロッティだったりと、ひねったところが全然ないところが英国人ニール・イネスとは全然違うんだけど、なーんかかぶる、ネレ・カライリチ。 『パンク・オペラ/ジプシーのとき』は、昨年ヨーロッパでのみ上演されたもので、わたしは到底行けなかったのでとても残念で仕方がなかった。でもサントラはすぐに手に入ったので日々聞いていた。ネレの声はよくわかっている。ほかはオペラの出演者の声だと思うのだけど、今回はヴァイオリンのダヤンさんとアコーディオンのミロシャヴィッチさんがオペラ風に歌っていた。この二人がだいたいコーラスをとったりしているのだけど、歌い方はネレとはまったく違う。ネレさんはロックバンドのヴォーカリストとして歌っているのだろうけれど、ほかの二人の節回しはロマミュージックの節回しなんですねー。この二人がしかも、音楽的にとてもすばらしくて(ほかの人もうまいけど)、それは『SUPER8』を見てもわかるし、映画のほとんどの曲を書いているのがダヤンさんで、とても良い曲を作っています。うまいしね〜・・・・しかし太ってしまいました。『Life is a Miracle』の時もそんなに太ってなかったのになあ。『黒猫・白猫』「Life is a Miracle』にも出演しています。ネレは、 「Life is a Miracle』ではいやらしいハンガリー人を好演(といってもそのまんまですが)してました。 特にパンフレットがあるわけでもなく、ステージにも何も凝ったものはなく、本当にアッサリしたものだったのですが、観客とバンドがとても暖かく一つになった感のあるすばらしいライブで、ドクトル・ネレのエネルギッシュさとやはりクストリッツア監督の映画を見ている人たちの熱い気持ちがサッカーのサポーター現象を生んだんだと思いますねえ。2時間ちょっと、大汗をかいて楽しみました。近くで見れて幸せでした。 本当に盛り上がっちゃいました。
(更新日:2008/7/5) |
●松本里美の Hey ! Emir Kusturica●
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ペルハンが映画の中で何度か弾いていたアコーディオンの曲。とてもいい曲で、ペルハンのテーマのように扱われていました。サントラのCDを見ると、この曲はイタリアのトラディショナルと書いてあり、それをゴラン・ブレゴヴィッチがアレンジしているのでした。この曲はきっと今回のオペラにも使われているのだろう、と、勝手に思っていたわたしです。でも、入ってないんですね〜。ペルハンのテーマは上に書いた12曲目なのかな?と思います。 来日がいよいよ楽しみですね。どんな風に歌は歌われるのかな・・・・・ステージはどんな風になるのでしょう。 (更新日:2008/4/7) |
●松本里美の Hey ! Emir Kusturica●
冠婚葬祭の曲を作ってみたいもんだ・・・とわたしは思った。 |
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Bronze & Willow 松本里美の銅版画と音楽 ーその輻輳する物語 2007 |
「Bronze & Willow」
フレイレフと一緒にやった時のブログを紹介。 ●in TOKYO-吉祥寺MANDA-LA2 1月28日 ●in NAGOYA-ゴヤムーン 1月29日 ライヴでは、クストリッツア映画から、『モルダビアン・ソング』『熊狩り』の2曲の演奏も聞くことができました。どちらも『Life is a Miracle』からですね。 |
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『パンクオペラ/ジプシーのとき(Le Temps des Gitans)/2007』
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●松本里美の Hey ! Emir Kusturica●
ジプシーの音楽といってもいろいろです。地域的にみても範囲は広いです。わたしが好きなのはルーマニアのもの、またはボスニア、セルビアのものになるのかな。そして、ゴラン・ブレゴヴィッチのアレンジした音楽なのだなあと思う今日この頃です。 |
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ジプシーのとき Temps des Gitans 1989 |
「ジプシーのとき」
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UNDERGROUND 1995 |
映画「アンダーグラウンド」1995については、いずれ書くのでここではサントラの紹介だけにとどめます。音楽は「ジプシーのとき」「アリゾナドリーム」に続いてゴラン・ブレゴヴィッチ。映画の最初っからカオスな結婚式シーンなどずっと演奏しているのはファンファーレ・チョカリーア。(のハズですが、だんだん疑心暗鬼になってますので、これもいずれちゃんと鑑賞しなおすことにします)
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BLACK CAT /WHITE CAT 1998 |
「黒猫・白猫」998の音楽についての詳しい情報はコチラのサイトに演奏者リストが載っています。 |
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バルカン問題は、先に書いたように入り組んでまして、しかも今でもあまりちゃんとした資料がないためにハッキリしないし、現地の人はきっと多少の間違いや、分裂などどうってことなく平気でくらしているのではないかと思います。資料もほとんどない中適当なことを書いてしまう人はどうかと思うのですが、もしかしたら、レビューやライナーを書いた人も平気で間違っている資料を信じて書いたのかもしれず、これはもぅショーガナイのかなあ、とも思ったりします。 サラエボといえば、エミール・クストリッツアとゴラン・ブレゴヴィッチのふるさとです。ボスニア人のエミール、セルビア人のゴラン、こういった話しになるともぅお手上げです。どういった確執が存在するのかもぅ理解できませんが、「アンダーグラウンド」では、原語でわかる人にとっては何語で話しているかがとても問題だったらしく、字幕スーパーで見るしかないわたしにはそのことでこの映画を判断したりはできないし、かえってできないことを良かったと思ったりします。そういったことの理解がなくても「アンダーグラウンド」は立派に自立しているから良いのです。「バルカン音楽ガイド」を読むと、この二人の実情や現地の人の反応などが書かれていて興味深いのですが、もぅこのコンビは無いのかもしれないと思うと寂しい感じがします。「ノー・スモーキング・オーケストラ」についてもくわしく書かれています。なかなか複雑な思いがしてしまいました。 世に何かを問うためには、世に出ることは大事で、そのための演出も必要なのだと思います。それで、批難があったとしても、作品自体に卑しさがなければわたしは良いと思っています。クストリッツアとブレゴヴィッチに対するバルカンでの批難は、遠い国にいるわたしにはなかなか理解できないものなのですが、どちらの作品にも卑しさを感じない、というよりむしろ品の良さを感じるので、わたしにとってはやはりすばらしい表現者です。 つーことで、今回はこれでおしまい。あー、スッキリした。(スッキリしないとか、なんなんだよ今回の話しはよぉ〜と不満な方は、その内行われる予定にしております「バルカン・オフ・オフ話で遊ぼう!」(ただのお茶飲み会だったりして)の会へどうぞお越しください。ヘイスティングスくん協力ありがとう。エルキュール松本、今回はチト疲れましたが、充実した内容だったと確信しております。 (更新日:2005/1/8) |
●松本里美の Hey ! Emir Kusturica●
(セリーヌ「夜の果ての旅」生田耕作訳。一時廃刊。復刊後は「夜の果てへの旅」となっています。) DVD化されていない!さらにはヴィデオは廃盤になっている!と教えてもらった時には目を疑って(メールで教えてもらったので)しまいました。クストリッツアの作品はそのほかはすべてDVD化されているし、「ジプシーのとき」はカンヌでは最優秀監督賞とロベルト・ロッセリーニ賞までとっているのに・・・。何か政治的なものが絡んでいるのかしらん?理由はまったくわかりません。DVD化されるようにするにはどうしたら良いのでしょうか?誰に言えばいいのかな?(渋谷のTSUTAYAには現在2本ヴィデオがあります。今がチャンス。ただし1本は相当画質が悪いようで、そのように注意書きされています) |
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ジプシーのとき |
上映時間 126 分 製作国 ユーゴスラビア 公開情報 ヘラルド・エース=ヘラルド 公開年 1989 監督: エミール・クストリッツァ Emir Kusturica 製作: ミルザ・バシッチ 製作総指揮: ミラン・マルティノヴィッチ 脚本: エミール・クストリッツァ Emir Kusturica ゴルダン・ミヒッチ Gordan Mihic 撮影: ヴィルコ・フィラチ Vilko Filac 音楽: ゴラン・ブレゴヴィチ Goran Bregovic 出演: ダボール・ドゥイモビッチ ボラ・トドロビッチ |
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どちらが表で、どちらが裏か、と思うのは、この35才の時の作品「ジプシーのとき」と45才の時に作られた「黒猫・白猫」。あまりにもたくさん同じアイテム・シーンが使われています。段ボールに中に入って移動して遊ぶ子ども達。「黒猫・白猫」では花嫁の脱走に使われます。「ジプシーのとき」では、主人公ペルハンをだまして逃げた首領アーメドがペルハンに復讐されるのはトイレの中で、「黒猫・白猫」でも小悪党ダダンへの復讐はトイレの中でした。前者では真面目に描かれているシーンは、後者ではことごとくコメディになっています。村を歩きまわる鳥たちや犬たち、花嫁のベールやハイヒール、悪党の白いスーツ、賭け事、豚、これらは二つの作品に出てくる共通アイテム・シーンでございます。一体全体これはどうしたことだろう、と始めは思いました。パロディなんだろうか・・・。 天を気高い気持ちで仰ぐためには・・・地に這いつくばるのがよい。クストリッツア監督の映画ではカメラが随分下の方にあることが多い。この仰ぎ見る、という角度が崇高さを増すような気がする。前述の「アンダーグラウンド」DVDブックレットによると、クストリッツァ監督はシャガールが好きなんですよね。どの映画にも繰り返し繰り返し空を浮遊する花嫁が現れます。
(マルク・シャガール「二つの顔を持つ花嫁」) |
●松本里美の Hey ! Emir Kusturica● 「黒猫・白猫」、にいきなり話しは飛んでしまうのよ。この映画の音楽を担当したのがノー・スモーキング・オーケストラなもので。実際にかかわっているのはメンバーではDr.ネレとヴァイオリンのダヤンです。
(エミール・クストリツアとノースモーキング・オーケストラの「UNZA UNZA TIME」) それから「スーパー8」のDVDを見たんですねぇ。「スーパー8」はDVDで見なきゃ駄目なんですよ、みなさん!是非DVDで見てください。何故かというと、ボーナスがすばらしいからです!そこには「黒猫・白猫」の最後のカオスな結婚式シーンのセットを使ったノー・スモーキング・オーケストラの「テントウムシや〜い」のプロモーションヴィデオが入っていたからなのです。何が楽しいって、音楽のPVほど楽しいものはない。メンバーはヴォーカルのドクトル・ネレとヴァイオリンのダヤン、ドラムのクストリッツァJr.、チューバはドーレ、ベースのグラーヴァ、ギターのコーチェです。演技してます。 |
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SUPER 8 |
製作年度 2001年 製作国・地域 イタリア/ドイツ 上映時間 92分 監督 エミール・クストリッツァ 製作総指揮 カール・バウムガートナー 、クリストフ・フリーデル 、ドメニコ・プロカッチ 、エミール・クストリッツァ 、アンドレア・ガンベッタ 音楽 ノー・スモーキング・オーケストラ 出演 ノー・スモーキング・オーケストラ 、エミール・クストリッツァ 、 ジョー・ストラマー |
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「美しき友情の始まり」ですからねぇ(「黒猫・白猫」の中のセリフです。「スーパー8」でもクストリッツア監督が何度も言います)、このゴチャゴチャと物・動物・食べ物・人間入り乱れたセットの中で変なカッコウで歌うドクトル・ネレは最高です。気持ち悪いウエストバッグしてていいっすねえ。わざとらしく趣味の悪いかっこうをしているのですが顔はなかなかハンサムです。クストリッツアJr.は、映画の中でお尻で釘を抜くデカ尻女のかつらをかぶってます(それぞれ役者の衣装を着ています)。映画の素敵なシーンと重なりあってできているPVは本当にボーナスだなぁと思います。これも友情の始まり。映画とPVが同時進行だったということがなんだか嬉しいんですねぇ。映画もCDも制作というのはすべて段取りだと思うのですが、映画のセットを使ってこれだけ一体化したPVが撮れるというのは、たくさん話し合いをしたと思うのですよ。これって「美しき友情」なんだろなー、と思うワケ。
(*「BLACK CAT・WHITE CAT」1998のサウンドトラック) ロマというのはジプシーの正式名称ということらしいけれど、(クストリッツア監督の言葉によれば、ジプシーは自分達のことをジプシーと呼んでいるそうです。最近それが差別用語のようにいわれ、かわりにロマという言い方が通常使われるようになっているよう)、冠婚葬祭に必ず現れるブラスバンドはロマミュージック特有。「黒猫・白猫」では病院にまで現れるブラスバンドが出てきます。このシーンと木に括りつけられてのバンド演奏は、印象的です。とにかくクストリッツアの映画はどのシーンもアイディアに満ちた創造的な構図が特色だと思います。どこで切ってもカッコイイポスターのようです。 ファンファーレ・チォカリーア というルーマニアのブラスバンドがそのバンドなんですよ。この人たちの村の男は全員ブラス吹くんです。ひたすらプハプハドンチャドンチャとやるのですが、それも超高速。日本に来たんですよ、今年2回目だったそうですが知らなかったので行ってません。今度来た時には是非とも行きたいです。「炎のジプシーブラス」というこの人たちを撮った映画もありまして、これがまたレイトショーだったもんだから見られなかった!(見ました2004/12/4)なんてこったい・・・。(調べた結果このバンドではありませんでした。が、このバンドであるという記述が多いです。くわしくは第四回をお読みください05/1/8)「アンダーグラウンド」でも最初っから小走りで現れてますねえ。結婚式に始まる後半もずっと演奏しっぱなし。ストイックだなぁ〜。 このブラスバンドというのは元をただすとオスマントルコの軍楽隊の音楽なんですよね。これは以前から好きでして(変ねぇ)ブンチャカドンドンと朝っぱらから聞いたりします。トルコ軍の戦意を鼓舞するためのものだったんですが、わたしは朝から聞いて一体何を鼓舞してるんでしょうねえ、馬鹿みたいですわ。時代も変わり、だんだん冠婚葬祭のためのものになっていったようです。喜びも悲しみすべてプカプカドンドンで表すのでした。
チャーミングなんですよ。すべての人が。どんな人でもかわいいところが一つ見つかると、その人が好きになるものですねえ。わたしも日頃から「おまえなんか嫌いじゃ!」と思う前に、どこかかわいいとこないか?と捜す努力するようにしています。そうすると嫌いじゃなくなるでしょ。むしろその個性を面白く思えるようになるから。クストリッツア監督はどんな悪党でもかわいいところを必ず描いているので、どの人も魅力的で陰険に感じない。ここが好きなところかもしれません。 |
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黒猫・白猫 |
監督:エミール・クストリッツァ |
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巨人、チビ、金歯、赤塚不二夫キャラ、フェリーニ「アマルコルド」に出てくるようなデカ尻女、ロミオとジュリエット、シンデレラ、この物語りはメルヒェンなんだなー。もしかしたらこれは天国のお話かもしれない、と何度か見たあとフト思いました。猥雑なことがずっと起こっていますが、すべてのバックにある風景はきれいな花畑や楽し気な川辺の遊園地です。ここは国境もない花園の中のユートピア。故郷のないジプシー。内戦後喪失した故郷をあとにフランスに行ったクストリッツア監督も今はジプシーかもしれません。 「アンダーグラウンド」のラストシーン、死者はみんな幸せそうな笑顔で集っていました。「黒猫・白猫」が「アンダーグラウンド」からなんの脈絡もない復活の映画だとはわたしには思えないです。この映画は「アンダーグラウンド」のラストシーンから続いているのだ、とわたしには思える。こうあったら良いではないですか。ハッピーエンドだったら良いじゃないの?あの戦争がドタバタの喜劇だったらよかったのに・・・なんてこと思っちゃいけないだろうけど、夢であったらよかったのに、と思った人は多かったかもしれない。 「死者は死者と、生者は生者と」と呟きながら仮死状態になるじいちゃんが弾くアコーディオンの曲は『DDADY'S GONE』(おやじは逝っちまった)、「スーパー8」ではノースモーキングのアコーディオン弾きマロシェヴィッチがラストシーンで舟の上でトラディショナルを弾きます。NATOの空漠で壊された橋を眺めながら。かれはこう言います。「この国は時間にルーズだ」。 (更新日:2004/11/12) |
●松本里美の LOVE ! Emir Kusturica●
(*「DEAD MAN」はジム・ジャームッシュ監督作品、「ED WOOD」はティム・バートン監督です。) |
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アリゾナドリーム |
監督: エミール・クストリッツァ Emir Kusturica 製作: クローディー・オサール Claudie Ossard 脚本: デヴィッド・アトキンス David Atkins エミール・クストリッツァ Emir Kusturica 撮影: ヴィルコ・フィラチ Vilko Filac 音楽: ゴラン・ブレゴヴィチ Goran Bregovic 主題歌: イギー・ポップ Iggy Pop 出演: ジョニー・デップ Johnny Depp ジェリー・ルイス Jerry Lewis フェイ・ダナウェイ Faye Dunaway リリ・テイラー Lili Taylor ヴィンセント・ギャロ Vincent Gallo ポーリーナ・ポリスコワ Paulina Porizkova 1993年/フランス |
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魚が砂漠の上を泳ぎます。幻想的で美しいです。求めても求めても虚無感が広がるばかりですが、不思議と重い気分にはならないのですねぇ。独特のユーモアがそうさせるのかもしれませんが、人生は美しく醜く、真摯に描くほどおかしくなってくるものなんだと思います。シャガールが好きだというクストリッツア監督、海を、空を、浮遊するイメージがいつも全体を覆っている。(更新日:2004/10/26) |