●二日目●


テロ事件により交通麻痺。
バスを駆使しての行動となりました。
サヴォイでの予約、レストラン「ルールズ」での食事。夜はミュージカル。
この日はとってもゴージャスな一日でした。



■EAT & MEET in LONDON ■

Vol.3: 地下鉄麻痺
8/July-fri


テロ翌日の地下鉄の駅。毎日この掲示板を見て確認。

日本の方がイギリスよりも場所で迷ったらどうして良いのかわからない、と思う。ヨーロッパがだいたいどこでも小さな通りすら建物の隅に名前が出ているから、地図さえ持っていればなんとかなる。千駄ヶ谷はわかんない。地図を道路で発見して、ヤッタ!と思ったが、そこから10m歩いてさらにケモノ道に入ってしまったのだった。番地がきちんと並んでいるわけではないから、33の隣がいきなり2だったりするもんね。ケモノの勘でなんとか辿りついたりする。


キングスクロス駅。報道陣でゴッタがえしだった。


電話のカードと1Day BUS チケット。バスの方は3ポンド。3回乗れば元はとれます。

コベントガーデン。

ジュビリーマーケット。

ROCK GARDEN。ザッパとかいるらしい。東京タワーみたいなのかな?入ってません。

わたしも石井さんも早起きで、翌日は5時半起きでした。
さわやかな朝というには寒すぎるロンドンの朝。店が開くころさっそく散歩に出て、雑貨屋で新聞を調達。わたしはついCDおまけについてるホワイトストライプスが表紙のMOJOを買い(日本でも買えるのに)、石井さんは『ぴあ』のような情報誌『TIME OUT』を買う。新聞も真面目なのとスポ日みたいなタブロイド紙を買ってみました。イギリスにはたくさんのタブロイド誌がある。
スポ日の方が写真が生々しかった。
そこから地下鉄がどうなっているのか駅まで見に行ってきましたが、ほとんど動いてなかったですねぇ。

ホンジャどうしようか。バスしかないわけですよね。カレドニアンロードから91番のバス。この91番のバスにこのあともずっとすがってました。
電話のカードも買いました。コレは5£。コレが、全然繋がらないんですよ。何か使い方が悪いんでしょうかねー。どなたかイギリス行く方いたら差し上げます。約1000円。国内海外どちらでも使えます。

車の規制があったのかどうかわからないけれど、爆破のあったキングスクロス駅周辺は大渋滞で、自家用車、タクシー、バス、各国の報道、道をたずねる人、係員に詰め寄る人など、ダブルデッカーの上からじっくり見てしまいました。上の席は、今思えば危険だったかもしれませんが、その時は観光客気分ですから、すぐに上に上ってしまいました。

コベントガーデンまで1時間くらいかかっちゃったと思います。地下鉄で10分くらいみたいだったのに。
まずはマークス&スペンサーで両替。マークス&スペンサ=というのはスーパーですが、その中でも高級な方。洋服とかも小奇麗なものがたくさんありました。ヨーロッパはタイツとか下着とか種類が多くていいなぁ。色もきれい。この日のレートは1£201円でした。今ロンドンはバブルなんだそうで、なんでも高いです。

この日はとても寒くて、しかも、昼にローストビーフで有名な老舗のレストラン「ルールズ」に行くことになっていたので、テラテラした一張羅のゴルチエのワンピース1枚とスプリングコート1枚。ストッキングの持ち合わせが無いため(というかまるではかないので)素足にサンダル。だいたい普段滅多にスカートをはかない生活をしているからたまにスカートをはくと裸でいるような感覚にみまわれまして、どうもいけません。何か下に着るものを捜そう、と安いおみやげもののあるジュビリーマーケットに行きました。
でも、結局こうゆうところにくるとみやげもんTシャツとかおもちゃとか見てしまって、出てみれば、下に着れるものなんか買ってなかった!なんてこったい。おのぼりさんグッズ買って終り。トランプ買いました。どこの都市に行っても必ず買います。
で、またブルブルしながら歩くのでした。
ルールズに行く前に、日曜日のアフタヌーンティの予約を入れようと、あのゴージャスなSAVOYに向かったのでした。

老舗の従業員というのは実はとても気さくなもので、軽く話し掛てきて、客をオタオタさせない。すんなり日曜日の4時の予約がとれて、一安心。


SAVOY HOTELの前で。荘厳なイメージですナ。

今回の取材で、一番お金を使ったのはローストビーフの「ルールズ」とアフタヌーンティの「サヴォイ」でした。
本当はもっとリーズナブルな店でもローストビーフもアフタヌーンティもとれますが、わたしねぇ、どうしてもサヴォイには行きたかったんですよ。リッツの方が高いですが、それでもサヴォイが良かったんです。なんでかっていうと、わたしの好きなアールデコの時代、ここが文化・社交の中心だったからです。その雰囲気に触れたかったのでした。
白と黒のハッキリしたコントラスト。かっこいいですねー。
シンプソン夫人がうっとり顔のエドワード8世と出てきそうじゃないですか?「世紀の恋」ね。でも、アメリカに渡ってからは地味だったみたいですが。
チャールズ&カミラカップルとどうも重なってしまう。 クレオパトラの昔から、機知にとんだ女は世界を揺るがすのだった。(揺るがすというか騒がす、だけかも)




■EAT & MEET in LONDON ■

Vol.4:ルールズ
8/July-fri


老舗レストラン「ルールズ」

ロンドンから帰ったあとはどこでもテロの日のことが話題となり、状況説明を繰り返しました。Webサイトを持っていたおかげで、何人もの方の掲示板のやさしい書き込みをロンドンで見ることができ、心配させたなぁ、という気持ちと、心配して貰えて嬉しいという気持ち半々で感謝してます。
母も電話してきて「もしかしたらロンドンに行方(遺体)捜しに行かなきゃならないかも・・・」と思ったと言う。あまりにも緊迫感がないままロンドンにいたので、この意識のズレに戸惑ってしまうと共に、心配かけちゃって申し訳なく思ってしまいました。謝ることでもないと思うんだけど、だんだん謝りたくなってきちゃった。イヤ、心配をかけたのは申し訳ないんだけど、正直な今の気持ちを言うと、心配してくれる人がいて幸せだ、かもしれないです。


なんかむくんでる。前にドカンとあるのがヨークシャープディング。大きいね。

壁にはジビエの絵と狩りの絵がズラッと。

骨つきです。きのこもたっぷり。

グレイヴィ。むこうはホースラディッシュ。どちらもおいしかった。

巨大ヨークシャープディング。

では、話しをロンドンに戻しましょう。
ローストビーフを食べるのなら、是非『ルールズ』へ行ってみてね」と以前ロンドンに住んでいたマダムに聞いていたのでした。
敷居の高そうな店構えですが、どうってことはありません。普通にメニュー見て注文するだけです。

そのメニューに「ローストビーフ」の文字がなかったのですが、どうやら違う言い方をここではするらしいのでした。でも「with yorksherpudding」と書かれているのを発見したのでわかりました。ワインは相当ゆっくり飲んでたのですが、お料理が出てきたのもゆっくりでした。本当に丁寧に料理してありました。骨付きの肉なので時間もゆっくりかけるのですね。美味しかったです。日本でいうローストビーフとはまるで違うしろもので、立派なものです。そのほか、あのグレイヴィーですらおいしかった・・・。『英国フード記 A to Z』にも書いてありますが、相当味に差があります。老舗レストランのグレイヴィーとインスタントのものとはまったくの別もの。でも、一般的な家庭ではインスタントのものでも満足しているようなのですねえ。本当においしいグレイヴィーは上流階級の人しか食べたことがないかもしれない。ママが作ったグレイヴィーはきっとおいしいだろうけれどね、最近はインスタントが多いたいです。2006年1月14日におこなった出版記念イベントでは、「Lovely Gravy Song」という曲を作って演奏しました。

『ルールズ』のローストビーフは「二名様から」となっています。量が多いのでそうなってますが、ある程度の固まりを焼かないとおいしくないからだし、これをジックリ焼くので時間がちょっとかかる。でも、待つだけのものは出てくる。日本人にとっては三人前くらいだと思いますが。
ヨークシャープディングはグレイヴィーでべちゃべちゃにしなければ、パイ皮のようなものだからおいしいです。でも、イギリス人はべちゃべちゃにして食べるみたい。OH NO!!
クィーン・オブ・プディングは、運ばれてきた時に、興奮しました。「ワーオ、これって王冠!絵は絶対このデザートを頭にのせている女王に決まりだ!」というわけで、エリザベス1世にその役をやっていただきました。

石井さんはシャンパンを頼んだのですが、このグラスは立派なグラスでした。泡の出方がきれいだった。同じようなものを、わたしは下北沢のグラン・クリュで見ている。こうゆうものに詳しくないのですが、泡が1本だけ最後まで出るものと、数本出るものがあるみたいね。どうしてあんな風になるのかなぁ。ワイングラスのような丸い底だとならないんだろうね。

調度品ご覧ください。
手前はナマモノです。やっぱりむくんでる。
あ、HIKUIYAMAのミネギシさん!?壁にはたくさんの顧客の方の肖像画がありました。
『クィーン・オブ・プディング』
メレンゲ大好き。

店内観察は楽しいです。ブラリとランチにくる常連の紳士は、やはり窓際に通される。アメリカ人風Tシャツにスニーカーグループは奥の方。パキッとしたリッチそうなビジネスマンは昼から豪華なコースで、3人とも違うメニューなためテーブルの上が目一杯だった。ワインも赤・白どちらもボトルで、ランチでこんなに飲んじゃって午後ちゃんと仕事できるんだろうか?などどいらぬ心配をしてしまった。
その後デザートのメニューを再び見せてもらったら、体験したいと思っていたものを石井さんが発見!本に書くものは必ず体験しなくちゃね。『ルールズ』では『R』のローストと、『G』のグレイヴィーと、『Y』のヨークシャープディングと、『Q』のクィーン・オブ・プディングの4つをいきなりクリアしたわたしたちでした。

本にも説明がなされていますが、ここに出てきた二つのプディングはまったく違ったタイプのもので、いわんや日本で言っているプリンとはまったく違います。詳しくは本で。


ニュースのチェック。あらためて驚く異邦人状況。

高級なレストランを出たあと、その向かいのリーズナブルなインターネットカフェに突入。さっそく日本語のニュースなんぞをチェックです。でも、もうこの日はすでにプロレスラーが若くして亡くなったことがトップ記事になっていたのでした。ロンドンの状況を日本のニュースサイトで確認して、やっと事件のあらましを知るのでした。
で、自分のBBS見て慌てて返事をいたしました。日本語は読めるけど、入力はローマ字。これが見にくい。それと、間違いだらけ。日本語が入れられるところは普通のカフェではまず無いと思います。
異国で心配してくれている日本語の文字を見てちょっと感動してしまいました。


ディスプレイもきれいだが、中身も充実。空き缶も茶道具もあるし、楽しいところです。


ポロックス・トイシアター。
チーズは大きな塊を切ってもらう。
コベントガーデン付近は以前行った時にもいろんな店に入った。楽しいところです。紅茶の店、チーズの店、パン屋、セールをやってる洋服屋、靴屋、など。
「ポロックス・トイシアター」はここではないところに博物館があります。それは最後の日にお会いしたライターの清水晶子さんの著書「ロンドンの小さな博物館」という本に載っていました。わたしはここに行って組み立てミニ劇場を買いたかったのですが、どうがんばってもあの交通麻痺状態では「ちょっと行って来る」という具合にはならず、行けませんでした。本当に残念でならない。

ほかにもいけなかった博物館がありましたが、これも仕方がないことですね。


『Neals Yard Dairy』です。チーズ屋さん。


チーズの山です。どれでも味見させてもらえます。パンも売っているので、チーズ3種類と買って帰りました。
コベントガーデンにあるチーズのお店『ニールズ・ヤード・デイリー』。『DAIRY』というのは乳製品のことだそうで、DAILYとは意味が違います。
このお店では試食がいろいろできて楽しいのでした。イギリスといえばスティルトン。これを黄色味がかったチェダータイプとほかのもふくめ三種類。それとパンを買って夕食&朝食分としました。

チーズは結構臭いタイプのものでも平気なので、だいたいなんでも大丈夫。ロックフォールも好きだし、カビがブリンブリンのものでも大丈夫。
版画はこのチーズ屋さんをモデルにしました。


■EAT & MEET in LONDON ■

Vol.5:ミュージカル
8/July-fri


ヴィクトリアンシアター『BILLY ELIOT』

食べ物本の下絵数枚描く。女王の衣装を調べたりスコットランドのキルトを調べたりして楽しい。女王というと誰を思い浮かべますか?エリザベス、ビクトリア、メアリー、この3人以外には考えつかない。動物はどうか?犬、馬、羊・・・こんなところ。洋服はどうか?スコットランドのキルト、乗馬服、シルクハット、ハンターや釣りの格好など。物語りは数々。子どものものではアリス、マザーグース、ピーター・ラビット。そしてもっとも偉大なイギリスの作家シェイクスピア。

しかし、シェークスピアは使われることがありませんでした。残念。女王は本文中ではエリザベス1世、表紙にビクトリア女王に登場いただきました。マザーグースからはハンプティ・ダンプティをさまざま。


ディスカウントチケット屋。


本屋さんの上の階にあります。

本屋さんの上にあって、さらにCD屋とくっついているので、楽しさの三位一体。 日本でもこうゆうところがたくさんあるといいのにね。

そのシェイクスピアにはじまるロンドンでの芝居の浸透ぶりには驚かされる

コベントガーデンのディスカウントチケット屋さんが並ぶ界隈はとても賑わっています。今回わたしたちが見たいと思っていたのは『Billy Eliot』と『メアリー・ポピンズ』でした。『Billy Eliot』は予約がすでにいっぱいということだったので日本からは買えず、現地であれば行きましょう、という算段。
何軒かで売られていたので買いましたが、劇場窓口とそう変わらなかったようです。手数料がついたりするので、表示の値段より高くなります。結局10000円くらいだったかな。1階の後ろの方のはじっこ。
とりあえず夜の予定を入れたので、ここでちょっと本屋と休憩。コベントガーデンから少し北の方、レスター・スクエアへ向かっていくと、大きな本屋が2軒向かいあわせになっています。

まずBorders'に入る。本屋さんもセール中。
1階(というのは2階のことなんだけど)には例によってスタバが・・・、はびこってる。それとCDのコーナーがあって、セールの上にさらに50%引きになっていたので2枚買う。あちらのフォークと、夏に聞くUKロックシリーズ〜〜〜みたいなの。ボンゾ・ドッグ・バンドが最後に入っていたので買う。両方合わせて1000円(5£)だった。
ここのレジでわたしはかわいいものを目撃してしまった。わたしはちょっと苦手なのだけどまさにブリティッシュラブコメディのワンシーンみたいなものと遭遇したのでした。素敵な青年がレジを終って「バーイ」と言ったら、レジのかわいい子が思わず「I LOVE YOU!」と言ってしまったのだよ。もうひとり女性のお客がいて、わたしを含め4人ともビックリして顔を見合わせてしまった。レジの女の子は「Sorry!」と平謝り。わたしたちに「わたしはフランス人で、今サンキューと言おうと思ったのに、何故か突然違うことばが出てきちゃったの〜〜〜キャ〜〜、やだわぁ〜〜」と説明。でも本当にかわいい子だったので、青年もまんざらではなく、手を振って帰っていきました。きっとここからラブコメが始まるんよね。こうゆうことは良くあります。「ただいまー」と言おうと思って「いただきまーす」と言ってみたりね。ラブコメばかり出ているヒュー・グラント、あの人なんでこんなんになっちゃったんだろう。もっと違う役できると思うんだけど。しかし、本人も楽しそうだ。

向かい側の老舗本屋FOYLESの2階(1階という)にあるカフェが石井さんのお気に入りだとかで、ここでひと休みすることにしました。『Ray's Jazz Cafe』と書いてあったと思います。CD売り場の横にカフェがついてて居心地がとても良いです。ここで、数日後、懐かしのミュージシャンに会うことになります。

お店をぶらぶら見ながらバス停へ。途中BAUBOWの帽子を買いました。「バブアー」と日本では呼んでいると思うのですが、店員さんの発音ほとんど「バーバー」でした。「バブアー」といえばオイルドセーター、オイルドコートで有名。釣りの国イギリスならではの男っぽいカチッとしたものが多い。手ごろなところでHATにしました。


これはチラシ。

寒い日の上に、夜になるとどんどん冷え込んできて、靴下屋に飛び込む。編みタイツがいろんな色があってきれいだったので2足(あまり防寒にはならない)。大好きなオレンジ色と緑色、ヴィクトリアンシアターの中で土産物屋で買ったユニオンジャックプリントのTシャツを着込み、タイツをはいて観劇いたしました。寒いのに、幕間でみんなアイスクリームなんか食べちゃってさぁ〜、どうなってんだろうか、体温・・・。
『Billy Eliot』の資料はロンドンから船便で送った。ちゃんと届くといいんだけど(CDも入れてしまったし)。と思ったら無事に1ヵ月半後に届きました。
これは映画では日本タイトル「リトル・ダンサー」でした。映画ではT-REXの音楽など既存のものが使われていたのですが、ミュージカルの方はエルトン・ジョン。
特筆すべきことは2点で、ひとつは北イングランドの言葉を使っているため、ま〜〜〜ったく何言ってるのかわかりません!ハローのひとつもわかりません。もぅひとつは少年がかわいくてうまくて良かったこと。いっぱい踊って、夜中までやってるんですよ。勿論3人でかわるがわるなんだけど。大変なことだと思いました。いや、良かったですよ、ダンスが特に。
あ、もぅひとつは、観客が慣れてるってことかなぁ。老若男女いろんな人が来ていてロビーでくつろいだりしてました。イギリスは日本のようにお店は遅くまでやってません。しかも、この時期は9時ころまで明るいので、子どもも起きてるんだろうなー、家族で夜はミュージカルで過ごすっていうのは、ある程度の階級の人にとっては普通のことなんだろうと思います。
劇場も古そうで、ボックス席の彫刻などゴテゴテしちゃってきれいでした。

バスで帰宅。電車が使えないから。途中事故のあったKINGS CROSS駅の前をまた通りましたが、報道のテントはまだ張られていて、人が多かったです。11:00帰宅。買ってきたチーズとパンを食べました。就寝。5秒で寝付く。腹筋せず。

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2006 (c) Satomi Matsumoto