●四日目●


『柳の模様』にとり憑かれてハヤ6年。2002年の個展『柳ホテル』でこのモチーフを使いました。もともと柳の木が好きだったということもありますが、イギリス、ビクトリア時代に制作されたこれを代表とするシノワズリな模様が好きであります。
特にこの『Blue Willow』には思い入れのある人も多いようで、絵本も作られていますし、多くのメーカーから同じパターンを使って食器が作られています。コレクターもたくさんいますねえ。また、新しい作家によるモダンな食器なども出ています。とても人気のある模様です。高価なものもあれば廉価なものもあります。

とにかくまずはマーケットへ!
でも、その後もあるはあるは・・・どこに行ってもお目にかかれます。イギリスの模様といったらもぅコレ!って言ってもいいくらい。

その後一張羅に着替えてサヴォイ・ホテルへ。

 

(日記に載せていたものなので、一部書いた日のことが書かれています。また、新たに加筆しています。)

■EAT & MEET in LONDON ■

Vol.8:柳のカップを探して
10/July-sun


CAMDEN LOCK MARKET /STABLES

蒸し暑い日本の夏が到来。
今年の夏は二の腕を出すことにした。出している内に慣れるかなぁ、と思って。
ロンドンのファッションの今年のトレンドはわたしが見たところ「お腹」を出すってことのようです。しかし、一言で「お腹」と言って片付けられる事ではありません。それは=肉なわけで、スマートに絞り込んだお腹を出している人は皆無に等しく、ほとんどの人がまさに「ブリジット・ジョーンズの日記」風のあの小太りのブヨリとしたお腹をタンクトップとローライズのパンツの間からボテッと出しているのであ〜る。これはどうしたことか!?40も過ぎると腰回りが気になりますねぇ、ダイエットをしてもナカナカこのへんはスリムになりません。しかし、イギリスの女の子たちときたらまったくそんなこと意にかえさず、ボヨボヨ出してます。街中ブリジット・ジョーンズだらけでちょっと気味が悪いです。これでわたしの神経も麻痺してエーイ、わたしも出しちゃえ!とは今のところならない。
さらに、変な話しで申し訳ありませんが、赤裸々に語りますと、彼女たちはブラジャーをあって無いものと思っているようで、どんなかたちのタンクトップを着ててもブラジャーのヒモは丸出しになっております。ズレてるとかってんじゃないです。勿論見えて良いようなタイプのものもあり、日本でもストラップのかわいいものに代えたり、透明のにしたりして見えても洋服の一部として着る、これくらいはわたしもするのだけど、まったくただの下着状態で見せてるのか見えてもなんともないのか・・・・そんな状態で闊歩している人が多いのでした。これは日本でも流行るだろうか・・・・?工房のある原宿は最新ファションの宝庫ですが、そうゆう人はあまりまだ見かけない。きのう背中がベロ〜ンとあいている服を着て、ブラジャーを全部見せてる女の子がいましたが、彼女はガイコク人のカレと歩いてました。日本の雰囲気じゃぁなかった。ローライズのパンツの下にTバックとか見せるためのものをはいてる子は最近多いかもしれない。
イギリスの子どもたちはヒョロッとしてスリム。でもティーンエイジャーになるといきなりブヨッとなるようです。これは給食のせいみたい。かのジェイミー・オリバーくんが改善すべきである、と大々的にアピールして最近は少し良くはなっているようですが、油っこいものと炭水化物とデザートが多いということらしい。ビュッフェ式だと野菜はなかなか摂取できないだろうと思う。(05/7 記)

CAMDEN LOCK

CAMDEN TOWNからマーケットは広がる

マーケットの中にはケバブなどエスニックフードのお店が多い。

運河のそばにも店が立っている。回りの建物もすべてマーケット
元馬の病院のあったところ。アンティークショップが多い。

運河には大きな柳の木が。
ロケーション最高でした。

ここからナローボートに乗って動物園方面に行ける。次回は乗ってみたい。

カムデン・ロックは大きなマーケットです。マーケットはそれぞれ特徴がありますが、カムデンは雑貨やガラクタやデザイナーズブランド、アーティスト雑貨、家具、古着などがひしめいていて、屋台もエスニックものが多く、ヒップな雰囲気でした。運河沿いは美しく静かで、大きな柳の木が風に吹かれてそよそよと涼し気なのでした。


川辺の柳

Willow Patern

これは端正な絵でした。

いきなりたくさん見つけました。

きれいでしたが、鳥が大きすぎる。
ウェッジウッド。色が淡いのが特徴のようです。あまりわたしの好みではなかった。

ブルーではないけれど絵はきれいでした。カップ&ソーサーと深皿を買いました。

セットで欲しいところです。最近朝食はこれを使っています。
このマークにはストークオン・トレントの文字が入っている。ストークオン・トレントは陶工の街で有名です。とても古そうなものでしたが、あまりにもマークがズレているので諦めました。 これが一番模様が美しかったように思います。ミニチュアなんですよ。たったの3£。アンティークのゴチャゴチャの中にポツンと置かれていました。MDディスクと較べてみてね。小さいでしょ。 小さいけれどしっかり描かれてるでしょ?子どもが使うものなのか、飾り用なのかはわかりませんが、手触りも良くて、とても気に入っています。

BLUE WILLOWを求めてアンティークマーケットへやってきました。
日本でも売っているハズですが、わたしは姉の家でしか見たことがありません。このシノワズリな絵が好きで2002年に「柳ホテル」というシリーズものの個展を開きました(ギャラリーページをご覧ください)。調べていくうちにスポード社のものが一番良さそうだということになり、アンティークでみつからなければスポードの店、あるいはハロッズなどのデパートへ行ってみようと思ったのですが、デパートに行く時間もなく、アンティークマーケットで気に入ったものがあればそれで良いかなぁ〜と思っていました。マーケットはこのカムデンのほかにポートベローに行ったのですが、どちらでもたくさん見つけることができました。ただし、本当に美しいものもあれば絵がズレまくったものもあります。わたしはコレクターというわけではなく、ただ自分が描いたブルーのカップ&ソーサーさえあれば良かったんですけどね。見ているうちにやはり欲しいものだらけになってしまいました。
グリーンのものはおまけをしてもらってカップ&ソーサーと深皿で10£(2000円)。ミニチュアのものはもしかしたら一番絵がきれいだったかもしれませんが3£(600円)です。
このあとも、パブの壁で見つけたり、ケーキ屋で見つけたり、イギリスでは本当にポピュラーな模様なんですねー。
楽しかったですヨ、アンティークマーケット。洋服も買いました。

2002年の個展でこの模様のモチーフを使っていたら、たまたま帰国していたイギリス在住のゴスペル&オペラ歌手の友人が「これって、あちらでは歌まであるのよ」とおっしゃる。ビクトリア時代に制作されたこれらの数枚のシノワズリな絵柄にはそれぞれマザーグースのような簡単な歌がつけられていたのでした。彼女の住んでいるアパートのおばあちゃんも編み物をしながら「Blue Willow」の歌をよく歌っているというのでした。

これにはビックリしました。個展会場の青山ギャラリーハウス「マヤ」のオーナーのマヤさんと、この巡り合わせの不思議についてしばし語り合ったものでした。彼女に頼んでイギリスに戻ったあとその歌詞を送ってもらいました。残念ながら曲は送って貰えませんでしたが、それはそれ、想像力を駆使してわたしなりの歌にしてみよう、それで良いではないか、と思いました。想像するのはとても楽しい作業でした。

わらべ歌のように生活の中で口ずさむものだから、きっと単純な繰り返しのものに違い無い。たとえば「ロンドン橋落ちた」みたいに。そして、口伝えに広がる、という意味からすればケルト風、あるいはアイリッシュ風のフォークソングかもしれないと想像。それなら、英語の歌詞は古い民謡のようにして、日本語の歌詞になったらちょっとアップテンポにしてフォークロックな感じにしてみよう、とさっそく電車の中で(たいてい電車の中で曲は思いつく)作ってみました。

題は『WEEPING WILLOW』これは原題です。こんな題だけれど、英語の歌詞の内容ときたらただ単に絵柄の説明のみです。なーんだ・・・・って感じもしますね。日本語の歌詞の方は、個展「柳ホテル」に因んで作りました。いつかライヴを聞きに来てくださいね。絵と一緒に楽しんでもらいたいと思います。

(06/2/13 記)

■WEEPING WILLOW(日本語歌詞&曲 松本里美)
Two Brids flying high,
A little boat passing by
A little bridge,Three or Four
Weeping Willow,Weeping low,
Weeping Willow
ここはチャイナかジャポネーズ、
百年前のもっと前、
お茶を飲むたび迷い込む。

King's Castle there it stands,
Many Kings in the Land.
A little bridge,Three or Four
Weeping Willow,Weeping low,
Weeping Willow
憂鬱な顔の紳士淑女、
ロビーの椅子に座ったら、
春になるまで出られない。

Cherry Trees with cherrys on
And a crocked fence ends my song
A little bridge,Three or Four
Weeping Willow,Weeping low,
Weeping Willow
窓の外には何がある、
まき絵の隅の靄のように、
ポッカリ空いた時の穴。



2002年の作品。
ロイヤル・ドルトンのオリジナルの資料を参考にしました。


■EAT & MEET in LONDON ■

Vol.9:アフタヌーンティ
10/July-sun


SAVOY HOTEL DOORMAN

時差ボケが終った瞬間に頭が冴えまくっている。
仕事の方ははかどっていないが、新作への意欲が俄然ムクムクと沸き上がってきて、数日前に下絵を描いて、きのう工房で完成してしまった。コレは赤い犬の絵で、全体的にはヴィクトリア調なのだけど、よ〜く見ると犬のポーズが不自然でおかしい、という絵。きのうさらに思い立って猫withヴィクトリアンスタイルという絵柄を思いつき、一気にこれも仕上げてしまおうと版作りを猛烈なスピードで進める。お盆シーズンになると額屋さんがまた忙しくなってしまうのでできるだけ早く注文をしにいかねばならない。工房も休みに入ってしまうし、ほかの仕事の都合も考えると二日で仕上げなくてはならない。この切羽詰まった感じ・・・いつものことながら身から出たサビであり、ドキドキするんだけど、こうでなくちゃ楽しくない、とも思えるからどうしようもない。
(05/8 記)

10日11:30ころのKING'S CROSS。まわりはほとんど報道陣。

駅横の小さな広場が献花の場所となっていました。

この方はCNNのカメラマン。

カムデン・ロックマーケットからバスに乗って一度FLATに戻りました。洋服をちゃんとしたものに着替えてコベント・ガーデンのサヴォイ・ホテルへと向かいました。その途中、ウェールズ行きのチケットをとりにKING'S CROSS駅へ。この日までは駅構内に入れなかったようなので受け取りに行くことができませんでした。駅の前は通りの向こう側も含め報道関係者ばかり。日本だったらもっと一般人の人だかりがあると思うのですが、献花の場所となっている小さな広場もそのまわりもとても静かでした。日本と同じように初七日という考え方があるのか、テロの被害のあった7日から一週間後には追悼集会が開かれ、その時には大勢の人がここやバスの被害があった場所に集まったようです。

SAVOY HOTEL

エントランス。アール・デコ。

ティールーム。

内側から見たロビー。全体的に薄暗い。
サヴォイの中にVIPたちの写真のコーナーがありました。これは一部。あ、若かりし頃のマリアンヌ・フェイスフルね。

わたしはシャンパンをつけて貰いました。

記念写真を撮ってくれました。
アフタヌーンティーといえばこの3段重ね。 大きくてドッシリしたスコーン。これはおいしかったですよ。 スコーンは美味でした。クロテッドクリームもサッパリ目のお上品な味。
スコーンには勿論クロテッド・クリーム。そしてジャム。これは普通のイチゴでした。たっぷりつけます。 プチケーキ。これはどうもいただけませんでしたゾ。砂糖の味しかしない! サンドウィッチは数種類。パンもそれぞれ違うのよ。きゅうりのはサッパリしてて美味しい。おかわりしました。

いよいよサヴォイのアフタヌーンティ。予約をしていたので、まぁまぁの席でした。中庭に面した奥のテーブルはきっと宿泊客とか常連客が通されるのだと思います。そして、着の身着のままで来たようなお客は、というと、やはり服そうは見られているようで、ロビー近くのティールームに入る以前、のような場所にされてしまう人もいました。う〜ん、やっぱりちゃんと予約してちゃんときれいにして行った方が良いですね、こうゆうところは。
せっかく高いお金だして行くんだから、キチンとしていった方が楽しいと思います。

ここのメニューにはシャンパンがついてまして、へぇ〜お茶にシャンパンねぇ・・・お茶にも食前酒がつくとは・・・アフタヌーンティということ自体がメインディッシュなのかぁ、と思いました。つけなくても良いようですがわたしは勿論つけて頂きました。「ルールズ」と同じシャンパンでしたヨ。
お茶の種類も豊富で、ラプサンスーチョンもあったんですけど、つい違うもの頼んでしまいました。ラプサンスーションはわたしの今までの経験では、元祖の中国ものはサッパリしているのに対し、イギリス製のものはいきなりスモークがきつくなり正露丸の味になってしまって、そのようなお茶が出てきたらきっとスコーンもサンドイッチもおいしくなかろう、とめげてしまったからなのです。わたしが頼んだダージリンは、いつもわたしが飲んでいる濃いダージリンとは違って上品な淡い色でしかも香りがよかった。どこのだったのかな?おいしくて何杯もいただきました。

☆お客さまざま☆

その1:素敵なゲイカップル。
ゲイ・ティー
見つめ合い、語り合うのでした。

その2:サヴォイでバースディを祝って貰っていたご婦人。1本蝋燭を立てたプチケーキが運ばれ、みなさん拍手しました。不二屋でもやっとるけどね。女王似のご婦人です。

その3:レストラン用一張羅を着たアジア人観光客。一応ゴルチエ。


わたしたちの目の前の席にあきらかにゲイのカップルが座ってまして、その後ろのグランドピアノで生演奏がありました。演奏を見るふりをしてゲイのお兄さんたちを見てたのですが、姿勢が良いです。で、お茶を飲む時にはちゃんとソーサーを持ってですねぇ、小指を立てて飲むんですよねー。ソーサーを持つのは基本ですが、女の人だって小指は立てないわよね。スコーンにつけるクロテッドクリームの量は半端じゃなく多くって、その上にのせるジャムも大量でした。ケーキもサンドイッチもお茶もすべておかわり自由で、どんどん持ってきてくれます。お茶も冷めていたらすぐに新しいものを持ってきてくれます。
ゲイのお兄さんたちは見つめあって静かに話しながらもきゅうりのサンドイッチをおかわりしてました。2時間弱ゆっくり時間は過ぎていき、優雅なサヴォイのティータイムを満喫いたしました。

普通に生活できるFLAT。洗濯機、ガステーブルなど使えます。

ツインベッドルーム。この下の階に広いリビングルームがありました。

きれいなバスルーム。 ベッドルームの窓から見た中庭とご近所。

4日間泊まったFLATとはこれでお別れ。
次の日からはテロ未遂のあったシェパーズブッシュのお宅のゲストルームに泊めていただくことになりました。日本人女性の方のお家です。彼女の働くリバプールストリートのオフィスのちょうど真下でテロによる爆破があったため、ビル自体が数日間封鎖となっていました。仕事がまるでできなくなっているという話しを聞いて、ようやく事件を現実としてとらえた、という状況です。毎日電車が止まったり動いたりする状況については、不審なものが見つかれば即封鎖というシステムになっているそうで、朝動いていた電車も状況によってすぐに止まるのでした。そんな状況でした。



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